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「禁断の移籍」組が熱戦を点火。
5万人を黙らせた、さいたまダービー (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 タイムアップの笛が鳴った瞬間、死力を尽くした両チームの選手たちはバタバタとピッチに倒れこんだ。そのとき、埼玉スタジアムを包み込んだのは、一瞬の静寂である――。健闘を称える拍手もなければ、不満を表すブーイングもない。あまりに壮絶なピッチ上の光景を目の当たりにし、5万人の人々はまるで言葉を失っていたかのようだった。

「EUROを見ちゃうと、Jリーグって面白くないよね~」

 スタジアムから最寄り駅へと向かう道すがら、ふと思い出されたのは、今夏に増殖したであろう欧州サッカーかぶれのひとりである、中学生の息子の言葉である。

「いやいや、君は見てないでしょ。今日の試合を」

 さいたまの夜空のもと、ひとり勝ち誇ってみせる。

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