J1昇格プレーオフ「逃れたい」「入りたい」2つの名門が激突 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 名波監督が振り返ったように、ジュビロは前へ向かってボールに挑み、結果として敵陣でのプレーが多くなる。49分、右サイドで小林祐希がタメを作って出したパスを、20歳の新鋭MF川辺駿が持ち込んでニアサイドに突き刺す。先制点で心理的に優位に立った。失点を挽回しようと前がかりになってバランスを崩したヴェルディの虚を突くように、61分、69分とアダイウトンがヴェルディDFを一人で翻弄して2得点。ブラジル人FWは左サイドの“隠れ9番”の動きで、ジェイ不在の穴も埋めた。

 一方のヴェルディは16本のシュートを撃つも、フィニッシャーを欠いた。FW登録選手の得点は一桁台で、トップスコアラーがMF南の10点。パンチのコンビネーションでロープ際に追い詰めたが、強烈なカウンターパンチを浴びてマットに沈んだというところか。

 ジュビロは効率のいい攻守によって0-3と勝利を収め、3連勝で2位を堅持。長崎を下した首位、大宮との勝ち点差は4のまま。同じく勝利した3位福岡とも2ポイント差と目が離せない。名波監督は「昨年までこの粘りはなかった。悔しい思いをしてきたことで、3ポイントの執着につながっている」と胸を張る。ジェイとアダイウトン(16得点で得点ランク2位)という二つの得点装置は戦術的アドバンテージと言えるだろう。

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