J1昇格プレーオフ「逃れたい」「入りたい」2つの名門が激突

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 両雄はかつて、Jリーグで「黄金時代」を作っている。

 ヴェルディは「格好良くて強い」が代名詞だった。93年にスタートしたJリーグ草創期の華やぎそのもの。ラモス瑠偉、三浦知良、武田修宏らの輝きは眩しかった。

 ジュビロは02年にJリーグを圧倒的な形で制し、「Jリーグ史上最強のチーム」と今も称えられる。名波浩を軸にしたパス交換は白眉だった。当時は、藤田俊哉、中山雅史、高原直泰ら、7人もの日本人選手がベストイレブンに選ばれている。
 
どちらも個性が強く、吸引力を持っていた。フットボールの浪漫があった。

 11月1日、味の素スタジアム。彼らはもう一度その煌(きら)めきを放つため、J1昇格を目指してしのぎを削っていた―――。

2ゴールをあげ、ジュビロの勝利に貢献したアダイウトン2ゴールをあげ、ジュビロの勝利に貢献したアダイウトン J2は残り4試合(38節終了段階)、混戦模様だった。首位を独走してきた大宮アルディージャの勢いに陰りが見え、2位のジュビロ磐田、3位のアビスパ福岡が自動昇格の1、2位を争う形に。一方、昇格プレーオフの3~6位圏内にもセレッソ大阪、V・ファーレン長崎、東京ヴェルディ、愛媛FC、ジェフ千葉が僅差でひしめき合い、ロアッソ熊本などにもわずかながらチャンスがある状況だった。

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