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宇佐美貴史の覚悟「得点王になる。それが四冠への必須条件」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 心身ともに妻に支えられて順調に回復していった宇佐美は、4月末に復帰。第12節(5月6日)の徳島ヴォルティス(3-0)でスタメン出場を果たすと、いきなりゴールを記録した。だが、宇佐美が本領を発揮し始めたのは、ブラジルW杯による中断が明けて、新加入のFWパトリックとコンビを組んでからだった。

「パト(パトリック)は機動力があるし、1トップを張れるタイプだったんです。だから、自然な感じで僕のポジションが1列目の『9番』から、1.5列目の『10番』に近い場所に変わっていったんですよ。それが、よかった。ややポジションが下がって、『10番』的な役割を担うことで、自分が持っていた"武器"がさらに出せるようになった。例えば、ピンポイントで合わせるロングパスやミドルパスを(前線や両サイドに)出してチャンスを演出できたり、ミドルシュートが決まったりするようになった。得点は、J2のとき(19得点)に比べて減ったけど、アシストは今までにないくらい増えた。自分がゴールを決めてチームを勝たせるだけじゃなく、自分のプレイがチームの勝利にだいぶ貢献できたと思うんです。また、FWのポジションを任されたときも自分のプレイの幅が広がったけど、今回も、自分の(プレイの)引き出しが増えた。1.5列目って、結構(自分には)合っているんちゃうかなって思いましたね」

 宇佐美のポジションが下がったことで、チームの攻撃バリエーションが増えた。味方をより生かす、あるいは、味方を使って自分も生きる――そういう術を宇佐美はもともと持っていたが、一層磨きがかかったようだった。

 だが、シーズン終盤を迎えた9月末ぐらいから、宇佐美の足が止まった。リーグ戦では第26節(9月27日)のサガン鳥栖戦(4-1)から、第32節(11月22日)の浦和レッズ戦(2-0)までゴールがなくなったのだ。

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