J1王者広島が示した「ストップ・ザ・大宮」のヒント
昨季から続く大宮の連続無敗記録が、21試合まで伸びた。今季に限ってみても、8勝2分けと驚異的なペースで勝ち点を積み重ねている。2位との勝ち点差は6に広がっており、団子状態の2位以下を尻目に、独走態勢を築きかねない状況だ。
こうなると、もはや「伏兵の健闘」では片づけられない。今季J1の焦点は、どこが大宮の快進撃を止めるのか(止められるのか)、になりつつある。
開幕から10戦負けなしで首位を快走する大宮。昨季からの無敗記録も21とした 5月6日に行なわれたJ1第10節で、大宮に1-2と敗れた昨季J1王者・広島のFW佐藤寿人も、大宮の変貌ぶりをこう語る。
「大宮というと、今まではカウンターのイメージだったが、ズデンコ(・ベルデニック)さんが監督になって、自分たちでボールを動かして攻撃のスイッチを入れられるようにもなった。いいチームになっている」
しかし、だからこそ、「大宮のよさは研究していた」と佐藤。いわば、"ストップ・ザ・大宮"のヒントを示したという点において、大宮対広島は興味深い試合だった。
この試合、大宮はいつものように「守備で試合の主導権を握る」ことができなかった。
大宮の守備はDFラインを高く保ち、コンパクトな布陣から中盤でもしっかりとボールにプレッシャーをかけるのが特徴。それによってボールを持つ選手は余裕を失い、パスを受ける選手とのタイミングを合わせることができず、苦し紛れにパスを出すことになる。結果、決定機には至らず、オフサイドばかりを増やしてしまうのである。
オフサイドの数は、大宮ディフェンスの出来を計るバロメーターだと言ってもいい。実際、連勝を続けている第4節からの6試合で大宮が奪ったオフサイドは、第5節東京戦の11回を最多に、1試合平均7.8回にもおよぶ。いかに大宮の守備戦術が機能しているかを物語る数字だ。
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