スタメン総年俸はガンバ遠藤ひとり分?
昇格初年度の長崎がJ2で躍進中

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLOSPORT

 Jリーグ昇格クラブとして、九州の伏兵は特筆すべき躍進を見せている。J2リーグ第12節を終了して3位。2位につける元アジア王者のガンバ大阪とは同勝ち点、そして京都サンガF.C、モンテディオ山形、ジェフユナイテッド千葉、アビスパ福岡などJ1経験クラブを見下ろす位置にいる。

 V・ファーレン長崎。
 昨季までJFLにいた彼らの躍進には、はたしてどんな理由があるのだろうか。

12節終了時点で勝ち点24の3位。J2昇格初年度でスタートダッシュを決めた長崎12節終了時点で勝ち点24の3位。J2昇格初年度でスタートダッシュを決めた長崎 長崎は有名選手を擁するクラブではない。スタメン全員の年俸を足しても、おそらく同じJ2、ガンバ大阪の遠藤保仁ひとりにも及ばないだろう。第12節のギラヴァンツ北九州戦、先発出場選手でJ1出場数最多は山口貴弘(2010年湘南でJ1を経験)の20試合。J1出場歴のない選手も少なくなかった。チーム最多4得点を記録しているFWの水永翔馬は昨季までJFLを主戦場とし、今季がキャリア初のJリーグである。

 戦力的に限界がある中、"走り勝つ"という戦い方が、長崎の基本になっている。

「試合を見ている皆さんに、"長崎は本当に走るチームだな"と言われたいんです」

 2013年シーズンから新たに指揮を執ることになった高木琢也監督は、チームのシーズン目標をそう掲げている。その言葉を裏付けるように、シーズンインしてからも走量は半端ではない。練習では必ず走りのメニューがあり、例えば1000mの持久走も設定クリアタイムはかなりきつめだ。

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