森保一監督、新戦力のテストはいつやるの? 最終予選を突破したあとの強化ビジョンを尋ねたところ...
森保一監督インタビュー(中編)
日本代表の試合後は、必ず「波」が立つ。
負けたら議論の波が大きくなり、勝った試合後も波は起こる。
突き詰めればどんな結果でも、チームを率いる森保一監督は厳しい声にさらされる──と言って差し支えない。
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森保一監督に日本代表の選考基準を聞いてみた photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── 2026年北中米ワールドカップのアジア最終予選は、ここまで6試合を終えて5勝1分の勝ち点16でグループ首位を走っています。そのなかでも、森保監督の選手選考や選手起用、結果についてさまざまな意見が沸き上がります。
「僕自身は、結果について達観視しているところがあります。勝利を目指して今やらなければいけないことに、日々最善を尽くす。プロセスにフォーカスを当てていて、試合が始まった時にはどんな結果でも受け入れられる自分にしておく、という。
もちろん、試合中も努力します。最大かつ最善を尽くしますし、我々を応援してくれている日本全国の方々に勝って喜んでいただきたいですが、どんなふうに評価してもらっても構いませんよ、という感じです」
── FIFAランキングを見れば、アジアでは勝って当然と見なされる相手が多い。けれど、アジアならではの難しさはあります。
「おっしゃるとおり、決して簡単ではありません。試合の結果だけをテレビの画面越しに見たら、アウェーの戦いでもそこまで難しくないように映るかもしれないですが。
ヨーロッパでプレーしている選手は、季節によって気温ひとケタの都市から移動してきて、気温差30度もあるなかで到着後2、3日で試合をしています。時差とか長距離移動はなかなか伝わりにくいと思いますが、ホントに過酷な環境で走って、戦ってくれている。国内でプレーする選手も、大変な環境を乗り越えている。彼らはスーパーマンのようなヒーローだと思いますよ」
── 選手はホントにタフになりましたね。
「アジア全体が力をつけてきて、日本対策をしてくるなかで、ホントにがんばってくれています。そのうえで我々が考えているのは、レアル・マドリードやバルサ、バイエルン、マンチェスター・シティは今シーズン苦しんでいますが、世界の強豪と言われるリーグでトップを走るチームは当たり前に勝っていく力を持っている。クラブと代表では、ちょっと違うかもしれないですが」
── アジアの環境は過酷だけれど、そういう力を身につけたい、ということですね。
「上から目線とか脇が甘くなってはいけないですが、我々も力の差を示しながら勝っていかないといけない。本気でワールドカップ優勝を目指す我々の目標からすれば、アジアで当たり前に勝つのは大事です。そういうメンタリティを持って、戦わなければいけないと思います」
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著者プロフィール
戸塚 啓 (とつか・けい)
スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専
門誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より 7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグ ワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本 サッカー』(小学館)