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なでしこジャパン監督解任劇に違和感 いつから「連係連動」が日本サッカーの長所になったのか

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

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連載第88回
杉山茂樹の「看過できない」

 なでしこジャパンのニルス・ニールセン監督を解任した日本サッカー協会の佐々木則夫女子ナショナルチームダイレクターは、以前からその指導方法に注文をつけていたという。「もっと綿密に連係連動する、攻守にアクションするチームにしなければいけない」と。

 監督解任を発表した会見での説明によると、その理由にも「連係連動」が関与していた。佐々木氏は「我々は11人が連係連動した細かいディテールで世界と戦う必要がある。そのあたりに熟知した指導者にやってもらう」と言う。そして「次は日本人監督のほうがいいのかも」と添えている。

イギリスでの記者会見で日本代表の「連係連動」を誇った森保一監督photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photographyイギリスでの記者会見で日本代表の「連係連動」を誇った森保一監督photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography 森保一監督もこの言葉をよく使う。英国遠征中に行なわれた会見では、「日本の連係連動は世界でもトップクラスだ」とまで言いきっていた。「連係連動」は、協会内部で流行語になっているかのようである。テレビ解説者、指導者しかり。言い出しっぺが誰なのかは定かではないが、少なくともメディア発ではない。

 彼らに言わせれば、「連係連動」は日本の長所であり、誇るべき点であるらしいのだが、具体的にそれが何を指すか、イメージは湧きづらい。この世界に長年居座り続けてきたライターとしては、理解に苦しむばかりである。だが、メディアは疑問を呈するどころか、それを右から左にこだわりなく流すばかりだ。だから日本サッカーを美化する気持ちのいいフレーズとして、流行に拍車がかかる。

 指導者は何より、言葉を扱う術に長けている必要がある。サッカーは感覚的なスポーツであると同時に、考察が求められるスポーツだ。頼るべきデータの少なさは野球の比ではない。それが最も少ない競技といっても言いすぎではないだろう。それだけに、伝える術として頼りになるのは言葉。語彙の豊富さであり、優れた表現だ。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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