セルジオ越後による今季の欧州組評「全体的に苦戦ぎみ。三笘と久保には早くビッグクラブの壁に挑んでほしい」 (2ページ目)
【欧州組はすごく増えたけど......】
このふたりにビッグクラブへのステップアップを期待する声は多いけど、僕も同感。ただ、そこは実力の世界。移籍するのは簡単ではないし、特に、攻撃的なポジションは競争が激しく、過去にも中田英寿(ローマ)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、南野拓実(当時リバプール)といった選手がステップアップを果たしたものの、レギュラーの座をつかめなかった。でも、W杯ベスト8を目指すなら、その壁を超えていく選手が出てこないと難しい。三笘と久保には早くその壁に挑んでほしい。
あとはワントップ候補の選手たちだね。もうひと頑張りしてもらいたい。上田も小川航基(NEC)もオランダリーグから上に行けない。キールの町野修斗も含めて3人とも悪い選手ではないけど、まだアジアの中で戦うのに間に合うレベル。世界の強豪国と戦う時にどうなるかは未知数。誰かひとりでも、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラといったレベルの高いリーグでふたケタ得点を奪うようなストライカーになってくれるといい。
欧州組はすごく増えたけど、世界が認めるスーパースターはまだいない。また、この冬も多くの若手が欧州に渡っているけど、純粋に実力だけを評価された選手がどれだけいるのか。率直に言えば、安いから買われている。欧州のクラブからすれば、失敗しても損は少なく、当たれば儲けものといった感じだ。
こういう調子で話していると、「セルジオはいつも辛口」と言われるけど(苦笑)、「W杯優勝」「W杯ベスト8」といった高い目標を掲げている以上、世の中のみんながみんなホメているだけでは難しいし、耳の痛い意見も必要。それも日本サッカーに貢献するひとつの形だと思っている。
今年で僕も80歳。次のW杯が評論家として最後の仕事になるかもしれない。今後も遠慮なく言わせてもらうよ。
(1)>>サッカー日本代表「史上最強」論に、セルジオ越後「ほんの1年前にアジア杯で2回も負けたことをもう忘れたのかな」
著者プロフィール
セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】
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