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閑散とした国立競技場でなでしこジャパンが一変 日韓戦で感じたサッカー界の「組織の問題」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 同じことは男子にも言える。森保一日本代表監督と大岩剛前U-23日本代表監督も、サッカー的には"水と油"の関係だろう。守備的サッカー(森保)対攻撃的サッカー(大岩)。技術委員長、ナショナルチームダイレクターは何を考えているのか、と言いたくなる。サッカー協会は組織として問題があるのではないか。

 佐々木監督代行の話に戻れば、国立競技場に1万2420人しか集まらなかった理由について、彼が挙げたのは五輪の成績だった。結果、成果を示すことができなかったことがファンの反応の鈍さにつながっている、と述べた。しかし、運が結果に占める割合が3割あると言われるサッカーで、結果、成果に頼るのは逆に危険だ。本質から外れている。

 池田前監督時代のサッカーは、とにかく面白くなかった。その守りを固めた先細りのカウンターサッカーは、どこか貧相だった。勝利しない限り、結果が出ない限り、幸せになれないサッカー。不入りの大きな原因のひとつもそこにあると考える。

 そうしたイメージを改善することが女子サッカー委員長の役割だとすれば、試合後の会見で、もう少し踏み込んだ発言をしなければならない。攻撃的サッカーを貫くと宣言してほしかった。佐々木監督代行兼女子委員長はアピール不足。肝心の言葉に弱さがある。国民に方向性を伝えることができずにいる女子サッカー界の、前途は多難だと言わざるを得ない。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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