堂安律「後半はホントに情けないゲーム」 イラン戦、攻撃は「打開策がまったく見えなかった」守備は「ズルズル下がってしまって...」 (3ページ目)
【背番号10を背負う者の使命・責任・プライド】
グループステージのイラク戦で、シンプルだが圧力のある攻撃を経験していた。ラウンド16のバーレーン戦でも、長身FWを生かすわかりやすいサッカーに対峙した。イラク戦とバーレーン戦を参考にすることで、縦パスやロングスローを活用するイランの攻めに対応できたはずだ。相手のフィジカルにしても、未知のレベルではない。
堂安は、小さくうなきながら答える。
「相手のレベルが上がっているのは間違いないですけど、自分たちはこれくらいのレベルの相手とふだんからやっているはずなので、それは理由にならない。相手が自分たちより高さがあるのを利用して、完全に押しきられてしまったけど、そこは何か打開策があったと思います。自分のアクションで流れを変えられたらなと思いましたけど、それができなかったです」
背番号で戦うわけではないと言っても、この男の背中にはたくさんの思いが込められる。チームの戦いを客観的に振り返りながら、最終的に自身へ鋭い矢印を向けたのは、背番号10を背負う者としての使命と、責任と、プライドが、胸のなかで立ち上がっていたからだろう。
堂安の頭のなかでは、いくつも思考が走り、混乱しているに違いない。
はっきりしているのは、立ち止まっている時間はない、ということである。チームをレベルアップさせていくために、進化を止めてはいけないのだ。
またしてもアジアの頂点を逃した悔しさを、心のなかで燃やし続けて──。
著者プロフィール
戸塚 啓 (とつか・けい)
スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専
門誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より 7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグ ワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本 サッカー』(小学館)
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