「ドーハの悲劇」から30年 日本サッカーの進化の過程をつぶさに見てきた福田正博の実感 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

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【外国人監督と日本人監督】

 日本人の持つ良さというものは、海外の人によって気づかされることが多い。これはサッカーに限ったことではなく、あらゆる分野に当てはまる。

 もちろん、何でも海外から指導者を呼んだら結果が出るというほど、サッカーは簡単なものではない。国ごとにサッカーへの理解度、浸透度が違うのは当然で、その差異を受け止めたうえで何をすべきか考えられる人物こそが、日本代表監督に相応しかったということだ。オフトさんも、イビチャ・オシムさんもそうだった。

 ドーハの悲劇の時代から30年が経った今、日本代表は日本人の森保一監督が務めている。

 日本人監督は、選手個々の性格やコンディション、メンタル、周囲との関係性など、細やかな部分を把握しながら、チーム作りを進められる点に、外国人監督とは違うメリットがあると思う。

 課題は世界トップとの差をどのようにして詰めていくのか、という部分になるだろうが、その点に関しては今や世界のサッカーの中心地である欧州で多くの日本人選手がプレーすることになり、その情報や経験を生かせる状況にある。

 その点で、森保監督は現在の日本代表監督になるべくしてなった人物と言えるだろう。オフトさんに見出されて日本代表選手としてドーハの悲劇を体験し、日本サッカーの進化の過程を見てきたキャリアも生きている。そして、何より選手たちや周囲の声に謙虚に耳を傾けることができる。

 その森保監督のもとで日本代表は2期目のチャレンジが始まっている。これもまた日本サッカーが踏むべくして踏んだステップだと言える。これまでの代表監督は最長で4年の任期だったが、森保監督の強化のサイクルは8年タームになった。

 このほうがチームを育て、発展させるためには必要だと感じていただけに、この変化を受け入れた日本サッカー協会もすばらしい決断をしたと思う。

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