サッカー日本代表の毎度もめる1トップ論争に鄭大世が見解 「理想はスピードのある大迫勇也。ただ、そんな選手はここ10年出ていない」 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【スタイルに合わないFWは代表では難しい】

 ストライカー気質のような選手は、常に監督を納得させられるか、それとも監督の下につくかのせめぎ合いだと思っています。

 例えばマンチェスター・シティのアーリング・ハーランドやパリ・サンジェルマンのリオネル・メッシがいたら、彼らを中心にせざるを得ないので、監督のプランはすべて崩れるわけです。

 でも彼らは、監督のプランを崩してでもチームを勝たせてくれるわけです。だから自由を与えられるわけなんですよね。

 彼らほどではなくても、FWは、クラブチームのなかでは、ライバルは2、3人くらい。そのなかで最初は使われなくてもチームが勝てなくなってきた時にチャンスをもらえて、そこで結果を出せば「こいつ、やるじゃん!」みたいな形で、ポジションを勝ち取れるわけです。

 でも代表では、代わりはいくらでもいるし、試合の間隔は数カ月に1回と長い。そうなると、我を出してチームのスタイルに合わない選手は使いづらいんですよ。だからみんなが求める、点取り屋のような1トップの選手は、より呼ばれにくくなるんです。

 大迫選手はすごくよかったと思うし、今季のパフォーマンスを見ればまだまだ代表でやれる選手なのは間違いない。また代表で見たいと思う人は多いと思います。ただ、大迫選手が入ると、代表が彼の色に染まりますね。

 そういう状況を好まない監督が時にはいます。ピッチのなかに王様気質の選手が1人入ると、みんなそこに合わせようとしてしまってサッカーが変わってしまう。僕もそっちタイプだったから、すごくよくわかります。

 森保監督は堅守速攻をやりたいわけで、縦へのスピード感やテンポを考慮すると、今の代表の1トップに求めるものと、大迫選手のキャラクターはマッチしないのかなと推測しています。

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