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サッカー日本代表の毎度もめる1トップ論争に鄭大世が見解 「理想はスピードのある大迫勇也。ただ、そんな選手はここ10年出ていない」 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【理想はスピードのある大迫勇也】

 現状のファーストチョイスは前田選手か浅野選手になっていますが、森保監督も決して満足はしていないと思います。

 前田選手は黒子に徹するのはすばらしいけど、FWとしての怖さがもう少しほしい。浅野選手のほうが1トップの存在感はあるけど、ポストプレーが得意ではない。人は皆、ないものねだりですね(笑)。

 流れのなかでは1トップにロングボールを蹴って、「ここで収めてほしい」「ここでキープしてくれたら本当に助かる」という展開は絶対にあります。そういう時に2人は体を張ってキープできるタイプではないので、ワールドクラスの相手だとしんどくなってくると思います。

 そうなると大迫選手がほしいとなりますよね。日本がボールを握って、相手を押し込んで主導権を握るようなゲームをW杯でできれば、大迫選手をオプションとして持っていてもよかったのではないかと思います。

 だから裏へのスピードか、キープ力か、そこを天秤にかけた時に、今のスタイルにマッチする前田・浅野という選択になっているんでしょうね。

 本当の理想は、スピードのある大迫選手。ただ、そんな選手はここ10年出ていない。そんなになんでもできるFWは高原直泰さんが最後ですね。

 もちろん、そんなスーパーなFWがこれから出てくる可能性はあるし、出てきてほしいと思います。でも今後もカタールW杯で結果を出した前田選手、浅野選手が軸になると思うし、現状はこれがベストだというが今の日本代表だと思います。

鄭大世 
チョン・テセ/1984年3月2日生まれ。愛知県名古屋市出身。朝鮮大学校から2006年に川崎フロンターレに入団し、FWとして活躍。2010年からはドイツへ渡り、ボーフム、ケルンでプレー。その後韓国の水原三星、清水エスパルス、アルビレックス新潟、FC町田ゼルビアで活躍し、2022年シーズンを最後に現役を引退した。北朝鮮代表として2010年南アフリカW杯に出場している。J1通算181試合出場65得点、J2通算130試合出場46得点。

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