堂安律がW杯で結果を残せたわけ。「大会前から自分が森保監督のファーストチョイスではないことは理解していた」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 思えば、今回のW杯はすべて、その気持ちのままにプレーできた気がします。言うまでもなく、日本代表での自分の立ち位置を踏まえ、ここで結果を残さないと生き残っていけないという思いも強かったので、結果に対する貪欲さ、ハングリーさは人一倍ありましたけど」

カタールW杯で2ゴールを挙げて脚光を浴びた堂安。photo by Sueishi NaoyoshiカタールW杯で2ゴールを挙げて脚光を浴びた堂安。photo by Sueishi Naoyoshiこの記事に関連する写真を見る

 その言葉どおり、カタールの地で堂安は目に見える結果で存在感をアピールした。71分からの途中出場となったグループステージの初戦、ドイツ戦でチームを勢いづける同点ゴールを叩き込むと、後半からピッチに立った第3戦のスペイン戦でも、強烈な左足でゴールネットを揺らす。"三笘の1ミリ"が注目された2点目のシーンも、起点になったのは彼の送り込んだ右足でのクロスボール。漲る自信は熱となって放たれた。

「これは結果論ですけど、ドイツ戦でゴールを決められたことで、大会前に抱いていた自信が確信に変わって乗っていけた気もしています。あのゴールが、僕が歩んできたこれまでの4年間が間違いじゃなかったと思わせてくれた。しかも、スーパーゴールではなく、僕のところに転がってきた、こぼれてきてくれたことにストーリーがあるな、と。神様はちゃんと見てくれていたんやな、って初めて思いました(笑)。

 と言っても、それはあとから感じたことで、(シュートを)打った瞬間も、試合中も、そんなことを考える余裕はなかったし、大会中はとにかく次の試合、次の試合で、いろんなことを振り返る余裕はまったくないまま、毎日が過ぎていきました」

(つづく)

堂安 律(どうあん・りつ)
1998年6月16日生まれ。兵庫県出身。ドイツのフライブルク所属のMF。2021年東京五輪では日本五輪代表の主軸として奮闘。2022年カタールW杯では、グループリーグ初戦のドイツ戦、3戦目のスペイン戦でゴールを決めて、日本代表の躍進に貢献した。今後も所属クラブや日本代表において、世界の舞台での活躍が期待される日本屈指のアタッカー。

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