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堂安律がW杯で結果を残せたわけ。「大会前から自分が森保監督のファーストチョイスではないことは理解していた」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

「意外」だと書いたのは、約半年前に聞いていた言葉が、それとは大きく違うものだったからだ。おそらくそれを自覚しているのだろう。次の質問を投げ掛けるより前に、自ら「きっと、言っていることが違うと思っていますよね?」と切り出した。

「半年くらい前は、自分のサッカー人生において、W杯はプライオリティの一番上にあるものではなかったし、そういう話もしていたと思います。正直、当時は(所属するドイツの)フライブルクで活躍して、結果と名前を残して、キャリアアップすることしか頭になかった。

 でも、あの舞台に立ったら......というか、正確には大会の1カ月くらい前から、すごくワクワクしていました。これは、自分のパフォーマンスも影響していたかもしれない。実際、心身ともにすごく充実した状態で日本代表に合流し、本物の自信を持って大会に臨めたことで、心からW杯を、目の前の試合を、楽しめた気がします」

 事実、今シーズンの彼は、新天地となったフライブルクで充実の日々を過ごしてきた。ブンデスリーガ開幕戦となったアウクスブルク戦で移籍後初ゴールを叩き込むと、その後も全試合に先発出場を続けながら存在感を示す。

 代表合流直前のウニオン・ベルリン戦後には、「理想的なアシストを決められて、気持ちよく代表に合流できる」と話していたが、そうした個人の結果はもちろん、チームがバイエルン・ミュンヘンに次ぐリーグ2位につけている事実も、堂安にかつてない自信を植えつけていた。

「2017年夏に海外に出てからは、僕の話す言葉を強気だと取られることが増えたけど、正直、無理をしていたところもあったというか。自分に、あとに引けない状況を作り出すために、有言実行にしてやるという思いで、あえてそういう言葉を口にして自分を奮い立たせていたところもあった。

 ただ2019-2020シーズンに、僕のキャリアでは初めてPSV(オランダ)という強豪クラブに在籍した時に、ピッチでの結果が伴わないと、自分の言葉は誰にも届かないと思い知ったというか。実際、ピッチ外でいくら強気なことを言っても、ピッチに立てばオランダ代表のFWコーディ・ガクポ(現リバプール)やFWステーフェン・ベルフワイン(現アヤックス)らに力の差を見せつけられて......。『どう考えても自分が一番下手やのに、こんな強気なことばかり言っていても単なる勘違い野郎なだけやん』だと痛感した。

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