堂安律がW杯で結果を残せたわけ。「大会前から自分が森保監督のファーストチョイスではないことは理解していた」
堂安律インタビュー(前編)
自主トレ中、一つひとつのメニューを入念に消化していた堂安律。photo by Takamura Misaこの記事に関連する写真を見る 12月31日。堂安律は大阪のJ-GREEN堺で、自主トレに励んでいた。スタートはストレッチから。一つひとつ体の状態を確かめるように、時には手で触れながらゆっくりと筋肉をほぐし、体が温まったら強度を上げて少しずつ可動域を広げていく。
「刺激を入れながら動き始めた途端、軽く筋肉痛が出ています。(カタールW杯の)大会中より少し、股関節も固くなっている気もしますしね。やっぱり、体は正直!」
ワールドカップ・カタール大会後、本格的に動き出してから3日目。帰国後、メディア対応や挨拶回りに追われていた間も、束の間のオフを過ごしていた時も、ランニングは欠かさずに行なっていたが、パーソナルトレーナーとトレーニングを始めた途端、体のあちこちに適度の張りを感じているという。
そうして、室内でのトレーニングを終えたあとは、グラウンドに出てフィジカルトレーニングを約40分。さらにボールを使ったトレーニングを経て、シュート練習へ。
ここでも一本、一本、集中してボールと向き合い、ドリブルで仕掛け、ゴールマウスにボールを蹴り込んでいく。シュートを止められれば、GKの元に歩み寄って「セーブができた理由」を尋ね、決めたとしても、自身のステップの踏み方やシュートを打つタイミングについて意見を求める。
今回の自主トレで対峙していたのはJFLでプレーしているGKで、言うまでもなく堂安がブンデスリーガやW杯で対峙してきたGKとはプレーの質も能力も劣る。だが、彼にとっては「まったく、関係ない」そうだ。
「GKのメンタルとか、フィールド選手の見え方は、GKにしかわからない。どういう理由でセーブできたのか、GKから何が見えて、何が見えなかったのか。それを知ることでヒントになることはたくさんある。それに......せっかく練習するなら一本たりとも無駄にしたくない。一日一日、一本一本、全部を積み重ねて、4年後に向かいたい」
堂安の戦いは、すでに始まっていた――。
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初めてのワールドカップを終え、目の前に座った堂安の第一声は、意外なものだった。
「W杯、めちゃ楽しかったです。明日にでももう一回、あの舞台で戦いたい。こんなに楽しい舞台だとは思ってもみなかったから、自分でもちょっと驚いています」
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