カタールW杯で選手たちが語っていた自身と日本代表に足りなかったこと。次回W杯には「バケモノになって戻ってきたい」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

「PKに関しては、運ももちろんある。だが、ゴンちゃん(権田修一)が1本は止めてくれると思っていたけど、僕も含めて3本外したらさすがにキツい」(吉田)

「蹴りたい人から蹴るということで、仲間を信じるしかなかった。蹴った選手のことを責められないし、これはチームとしての結果。受け入れなきゃいけない」(遠藤)

「もちろんPKを蹴った選手を責めるつもりはまったくない。勇気がいることなので、そこは讃えたいし、それよりも90分、そして120分で仕留めきれなかったところをフォーカスして、次につなげていくべきだと思う」(谷口)

 日本のベスト8進出をかけた4度目の挑戦は、またしても世界の壁に阻まれた。

「僕個人のパフォーマンスはよくなくて、チームに迷惑をかけた。こういう大事な試合でパフォーマンスを発揮できない自分に苛立ちしかない」(冨安)

「チャンスの時に(勝負に)行ききれなかったところは悔いが残る。流れを変えられなかった。そういう実力だったと感じている」(三笘)

 しかし、グループリーグではドイツ、スペインを下し、望外の1位通過。最後に敗れたクロアチア戦にしても、互角と言っていい内容の試合を繰り広げた。

「2点目をとれなかったのが痛かったが、それでも1点に抑えて、120分よく守りきったと思う。自分たちがゲームを支配する時間も長く持てて、決してドン引きで守りきるようなサッカーをしたわけじゃない。こういう戦いを強豪相手に出していけるのは、今後の明るい材料じゃないかなと思う」(吉田)

 それは、日本の選手たちがレベルアップしていることを、確かに感じさせるものでもあった。

「日本代表の選手たちのクオリティは高くなっていると思うし、所属クラブでいい経験をしていると思うが、ドイツ、スペイン、クロアチアはそういう選手たちが普通にいるわけで。これでようやく世界と対等に戦える土台に乗ったのかなと思う。ここから、さらにヨーロッパでやる選手が増えないといけないし、2チーム分作れるくらいのクオリティを持ったチームがさらに上に行ける。成長はしていると思うが、まだまだベスト8へ行くには足りなかったということだと思う」(遠藤)

 ベスト8進出の夢は次回、アメリカ、メキシコ、カナダの3カ国共催で開かれる4年後のワールドカップに持ち越された。

「いろんな経験をしたなと思う。年齢的にも今回24歳で出られたのはすごく幸せだと思うし、27歳で次がある。その時は(チームの)中心でいなきゃいけない。今回は終わってしまったが、次は"バケモノ"になってここに戻ってきたい」(田中)

 またしても悔し涙を流すことになった4度目のベスト16敗退は、しかし、これまでになかった新たな歴史を刻む、誇るべき結果でもあった。

(おわり)

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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<中村憲剛さんからのコメント>
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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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