「ベスト8入りするには、冨安健洋、遠藤航、三笘薫があと2人ずつ必要」。名波浩が振り返るカタールW杯

  • 篠 幸彦●取材・構成 text by Shino Yukihiko
  • photo by JMPA

優勝経験国であるドイツ、スペインを撃破し、日本代表が大いに奮闘したカタールW杯。おかげで、世の中はいまだあの興奮が冷めやまぬ状況にある。そこで今回、サッカー解説者の名波浩氏に、改めて日本代表の戦いぶりについて振り返ってもらった――。

ドイツ、スペインに勝ったことは大きな価値があるドイツ、スペインに勝ったことは大きな価値があるこの記事に関連する写真を見る カタールW杯において、日本がグループリーグを首位で通過することは予想していなかった。しかも、勝った相手がドイツとスペイン。そこに、大きな価値があると思う。

 サッカーの内容としては、自分たちが望んだものではなかったかもしれないが、強豪国に勝つために、選手みんながきちんと足並みそろえて戦えたことがよかった。

 初戦のドイツ戦。前半は相手に先制を許して、少し苦しい状況を強いられたが、(試合全体を通して)まとまった守備ができていた。

(勝敗を分ける)ターニングポイントは、51分のジャマル・ムシアラが外したシュート、そして70分に権田修一が4回連続でセーブした3つ目のセルジュ・ニャブリのシュート。どちらかひとつでも決まっていたら、試合は終わっていたと思う。

 その後は選手交代によって、日本の時間を作れるようになった。逆にドイツは、トーマス・ミュラー、イルカイ・ギュンドアンが抜けてリズムが悪くなり、そこでうまく同点に追いつけた。

 その時点でドイツは勝ち点1でいいのか、勝ち点3を狙いにいくのか悩んだはず。しかしそこで、交代カードがニクラス・フュルクルクくらいしか残っていなくて、日本のリズムになっていった。

 逆転ゴールとなった浅野拓磨のシュートは本当にスーパーだったが、特筆すべきは、板倉滉と浅野の関係性と、クイックリスタートじゃなかったこと。普通はボールをセットしてクイックに蹴って、ああいう場面になるもの。

 それが、あの時は浅野が膝に手を当てていたし、板倉がボールをセットして蹴るまでに28秒くらいかかっていた。そうした状況にあって、ドイツが浮足立っているところを、見事に突いたと思う。

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