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「ベスト8入りするには、冨安健洋、遠藤航、三笘薫があと2人ずつ必要」。名波浩が振り返るカタールW杯 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・構成 text by Shino Yukihiko
  • photo by JMPA

 コスタリカ戦はあの戦い方で、選手たちから「0-0でよかった」というニュアンスのコメントが多かったことに疑問を感じた。2勝すればグループリーグ突破が決まるのに、なんで決めにいかなかったのか。

 内容的にもフラストレーションが溜まるもので、やられ方もよくなかった。しかし、それ以上に"三笘薫の取扱説明書"を持っている選手がいなかったことが問題だったと思う。

 とりあえずボールをシンプルに預けて、三笘に判断させる。その回数をもっと増やさなければいけなかったのに、それをわかっていた選手が少なかった。

 結果的にコスタリカ戦での負けは大会の盛り上がり的には効果大だったけれど、すごくもったいなかった勝ち点0だった。

 スペイン戦は、東京五輪で対戦したことがある相手だし、やり方もわかっていたので、ドイツより戦いやすかったのではないか。

 失点シーンは、完璧に崩されたわけではなくて、こぼれ球からいいクロスを入れられて、アルバロ・モラタにヘディングで合わされてしまった。その失点からズルズルいくかと思ったけど、日本は選手の立ち位置を多少変えて、自分たちの時間を作れた。

 そうして、48分という早い時間帯で、堂安律のゴールで同点に追いつけたことがよかった。直後の逆転シーンでは、VARに長い時間がかかったこともスペインにとっては心が折れる流れになったと思う。

 その逆転ゴールのことで言えば、三笘があそこで諦めなかったのはすごかったし、田中碧がひとりだけ足を止めずにボックスに入ってきて、最後まで(三笘の折り返しを)信じて押し込む意欲を見せたことも見事だった。

 ジュビロ磐田や松本山雅で監督を務めていた時、よく選手たちに「1メートル、1歩にこだわれ」と言っていたけれど、テクノロジーが入ると1ミリまでこだわらなければいけない時代になったんだな、と。(三笘が折り返した際にボールがタッチラインにかかっていた部分が)1.88ミリという数字が本当かわからないけど、それを示したのが日本の選手ということが誇らしい。

 あと、11分という早い時間帯に失点しながら、心折れずに逆転したのは「スーパーだった」としか言いようがない。しかも、グループリーグを首位通過。これは紛れもなく快挙と言える結果だったと思う。

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