吉田麻也「選手を入れ替えた難しさはなかった」。コスタリカ戦の敗戦に批判を承知で何を語ったか (3ページ目)
ある意味、コスタリカの術中にハマり、日本は"いつもの敗戦パターン"で敗れた。相手が守備のブロックを敷いてくるなか、ボールは保持できても崩せない。それは、どこの国も苦労していることだが、力のある国は、最終的に打開の糸口を見つけ、個の力や連係でゴールを奪いとって勝っている。
コスタリカ戦の敗戦でドイツ戦の勝利の意味が半減し、自力で決勝トーナメントに進出するにはスペインに勝つしかなくなった。だが、吉田は強気だ。
前回のロシアW杯のセネガル戦で、GK川島永嗣は自らのプレーで相手にゴールを割られるというミスを犯した。しかし、大会期間中にそのショックから立ち直って、チームをベスト16へと導くプレーを見せたことを引き合いに出して、こう語った。
「前回のロシア大会で川島さんが見せたように、もう一度、立ち上がらないといけない。負けたことでたくさんの批判が起こると思います。こういう大きな大会、多大な注目を集める大会では、批判はつきもの。
でも、それをマネジメントできないと、ここには立てない。自信と勇気を持って、スペイン戦に臨まないといけない。ここですべてを投げ出すのは、まだ早すぎる。
自分らはまだ何もつかみとっていないですし、何も失っていない。気持ちを切り替えて、これまでと変わらずに、勝ち点3をとりにいかないといけないと思います」
追い込まれた時の日本は、諸刃の剣になる可能性がある。ブラジルW杯では、勝たなければいけないグループリーグ3戦目のコロンビア戦で攻撃的に臨み、前半こそいい勝負をしたが、後半に地力の差が出て、コロンビアに返り討ちにされている。
とはいえ、あの時から吉田は成長しており、より冷静にチームを統率してくれるだろう。そして、この日のコスタリカの戦い方は、吉田にとって大きな学びになったのではないか。
我慢強く、焦らず、球際は厳しく――。守りの基本を90分間忠実にやりきれば、スペイン相手でも何かを起こすことが可能になる、と。
【筆者プロフィール】佐藤 俊(さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など多数。
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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
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