サッカー日本代表のプレースタイルはどうあるべきか。W杯過去6大会は「嗜好性を選んで敗退」か「合理性を追求してベスト16」 (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

献身的な守備を受け継いだ今回の日本

 森保一監督が率いるチームは、プレースタイルの面で2018年ロシアW杯を継承している。ベスト16のポイントだった献身的な守備を受け継いでいて、これまでのベスト16後のような方向転換をしていない。コーチとしてロシアW杯に参加していた森保監督は、受け継ぐべき財産を見誤っておらず、課題を「対応力」としているのも正しい。

カタールW杯に臨む日本代表メンバーカタールW杯に臨む日本代表メンバーこの記事に関連する写真を見る ただ、それが今もって大きな弱点なのは残念だが、中堅国としての自覚を4年間一貫して持ち続けた初のケースと言える。トルシエ監督はフランスとの強化試合の大敗から守備に舵を切り、岡田監督も攻守のバランスを変え、ともにベスト16へ進出しているが、4年間一貫していたわけではない。

 ワールドカップに参戦する32カ国には、自ずと実力差がある。ただし、力の差がそのまま結果に反映されるわけではなく、番狂わせは毎回発生している。スコアもほとんどが僅差だ。相手が格上でも格下でも接戦を容認してきた今回の日本代表は、その点でワールドカップ向きと言えるかもしれない。

 あいにくドイツ、スペインと同居する最悪の組分けになってしまったが、接戦に持ち込む力はこれまで以上にありそうだ。ただ、たとえ目標としているベスト8を達成したとしても、中堅国からいかに脱却してステップアップするかという課題は残ることになる。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る