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古橋亨梧が前線で何度もポジション変更をした理由。日本代表定着へ国内組の希望となるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「アンドレスが、正しいタイミングやスペースを指し示してくれる。自分はそれに従うことで点が取れるし、ストライカーとして成熟できる」
 
 バルセロナでイニエスタとプレーしたカメルーン代表FWサミュエル・エトーがそう口にしていた言葉が忘れられない。それは贅沢なレッスンなのだろう。

 古橋は日々、その天恵を受けている。ひとりのアタッカーとして導かれている。戦術理解度は無意識のうちに上がり、それがユーティリティ性も高めているのだ。

 タジキスタン戦で古橋は90分間、攻撃の異なるポジションでプレーしている。右サイドをスタートポジションに、後半から左サイド、終盤はトップに変更。試合中、目まぐるしくポジションを変えながら、プレーレベルを維持するのは簡単ではない。卵が先か、鶏が先か。彼は攻撃的ポジションではどこにいても質が落ちない。ゴールに向かって、逆算して判断、選択ができるのだ。

◆古橋亨梧インタビュー

 古橋は、元バルセロナでスペイン代表だったペドロ(現ローマ)に少し似ているところがある。

 ペドロはアタッカーとしては小柄だが、優秀なスプリンターで、裏を取る動きが巧みだった。ゴールに近づいてもプレーの質が落ちず、左右どちらの足でも蹴れた。そして頭の回転が速く、トータルなプレーヤーで、リオネル・メッシやイニエスタとの連係も際立っていた。

「古橋はゴールを奪える選手で。ゴールを奪うことでそれが自信にもなる。それだけに、右、左、それにトップとポジションを動かすのは、ペースを握るところで難しいかなと思いましたが......」

 タジキスタン戦後、森保一監督はそう説明している。

「古橋とは話をして、『申し訳ないけど、攻撃はどこでもプレーできるようにしてほしい』と求めました。彼はそれをポジティブに受け止め、全力でプレーしてくれたと思っています。最後はトップで"ゴール前で勝負してほしい"と思い、90分間プレーさせました。かなりのハードワークで、(ポジションをたくさん変えて)頭の中はグルグルしていたかもしれませんが。最後までよくトライしてくれたと思っています」

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