2021.06.08

日本代表右SBとボランチの競争が激化。山根視来と橋本拳人に存在感

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 タジキスタンに4-1。活躍した選手もいれば、それほど活躍できなかった選手もいた試合だった。特段、派手な活躍をしたわけではないが、存在感を示した選手もいた。3月の韓国戦に続き、代表戦で2度目の先発を飾った右サイドバック(SB)の山根視来(川崎フロンターレ)は、その代表格になる。4点目を除く3点に深く関わる合理的なプレーを見せた。

タジキスタン戦にフル出場し、勝利に貢献した右サイドバックの山根視来タジキスタン戦にフル出場し、勝利に貢献した右サイドバックの山根視来 この記事に関連する写真を見る  前半6分、浅野拓磨(無所属)のシュートを相手GKが防いだその跳ね返りを古橋享梧(ヴィッセル神戸)が蹴り込んだ1点目は、山根が浅野に送った縦パスが、一番の決定的なプレーになる。アイスホッケー的に言えば、「ダブルアシスト(ゴールにつながった2つ前のプレー)」と言っていいパスだ。

 右から古橋がマイナスに折り返したボールを、南野拓実(サウサンプトン)が押し込んだ2点目(前半40分)でも、山根はダブルアシスト役を果たしている。古橋に切れ味鋭い縦パスを送ったのが山根だった。相手に1-1の同点に追いつかれたのが前半9分だったので、日本にとって好ましくない時間は30分以上経過していた。嫌なムードを断ち来り、試合を決定づけるような縦パスだ。

 橋本拳人(ロストフ)の代表初ゴールとなった3点目は正真正銘のアシストだった。山根の右サイドから差し込むようなパスを、橋本が巧く流し込んだ格好だが、パスそのものも、正確なシュートを誘発するような、上質さに富んでいた。

"タラレバ"になるが、山根が先発出場していなければ、日本はもっと苦戦していたのではないか。まさに救世主と言いたくなるプレー。マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍とは、このことを指す。

 右SBはこれまで、酒井宏樹(マルセイユ)が1番手で、室屋成(ハノーファー)が2番手だった。3月に行なわれた国際試合(韓国戦とモンゴル戦)では、その両選手を招集できなかったので、山根と松原健(横浜F・マリノス)の国内組が、それぞれ代表初出場を飾った。今回も右SBは、酒井がU-24日本代表にオーバーエイジとして加わったことで、1枠空いていた。山根がそこに呼ばれたわけだが、この日のプレーは、もう代表チームで何試合も出場しているかのような落ち着きぶりだった。