無得点の原因は。3バックの森保ジャパンの課題を検証する (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 結果的に森保ジャパンの3-4-2-1は、4-5-1(4-3-3)の布陣で構えるトリニダード・トバゴに対して不発に終わった。では、無得点に終わった主な原因は、3-4-2-1が機能しなかったことにあるのか。そこが最大の注目ポイントになる。

 まず、3-4-2-1の攻撃面の狙い、メリットについて、森保監督は試合後に次のように説明している。

「攻撃のときはウイングバックが高い位置で幅を持たせられるので、相手ディフェンスを分散させることができる。そのなかで、ビルドアップから縦パスを入れる。幅を持って攻撃できるところが、一番(のメリット)」

 これは、森保監督が率いた時代のサンフレッチェ広島のコンセプトと同じで、前任者ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌監督)の当時のスタイルに一致する。さらに言えば、4-2-3-1から3-4-2-1に可変させた昨年10月の2試合における攻撃スタイルとも共通している。

 森保監督は「3バックにしても4バックにしても、我々がやろうとする戦い方の原理原則は変わらない」と話していたが、このコメントの意味はそこにあると思われる。しかし、狙いどおりの攻撃ができていたかと言えば、そうでもなかった。

「ディフェンスラインやGKからのビルドアップ、ウイングバックの幅など、少しずつだが、時間を追うごとに感覚が良くなって、厚みのある攻撃につながった」と森保監督は振り返ったが、前半と後半にピッチ上でそれぞれ起きていた事象は、指揮官のコメントとは裏腹なものだった。

 わかりやすいデータが、森保ジャパンのバロメーターである攻撃のスイッチを入れる縦パスだ。前半の16本に対し、後半は8本。さらに、前半16本のうち9本が開始20分までに記録したものだった。つまり狙ったかたちの攻撃は、時間の経過とともにトーンダウンしたことになる。

 また、日本の前線で最も縦パスを受けたのは大迫で、前半8回、後半2回(失敗も含む)。2シャドーの堂安は、裏への抜け出しも含めて前半3回、後半3回。この試合でシュート7本を記録した中島は、パスよりシュートを優先したこともあってか、受けた縦パスは1回のみだった(この場面はトラップミスでロスト)。

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