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タイ戦4-0快勝で1位通過。「うまくいきすぎ」の日本が見せた柔軟性 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 率直に言って、あまりに事がうまく運びすぎていて気味が悪いくらいである。老婆心を承知で言えば、何か落とし穴が待っている前兆ではないかとさえ思えてくる。

 戦前の低評価からも分かるように、チーム全体が危機感を持って大会に臨んでいることが、この結果につながっている面はあるだろう。矢島は「今までベスト8で敗退してきた大会にはなかった一体感がある。この大会にかける思いが一人ひとり強い」と語る。

 ただ、グループリーグ第3戦のサウジ戦が“消化試合”になってしまうことで、いい意味での危機感や緊張感が薄れてしまう危険性は否めない。

 準々決勝まで中2日で4試合が続くなかでは、日程的余裕を持って準々決勝に臨める状況を作れたことは、普通に考えればプラス材料である。手倉森監督も「準々決勝を見据えながらの起用ができる。多くの選手を3戦目に使っていきたい」と話す。

 だが、今のチームにとっては、勝たなければならない緊張感を保ったままの“ガチンコ勝負”が続くほうが、勢いそのままに最重要の準々決勝、準決勝に入っていけたのではないか。そんなふうにも思える。

 チームが今、いい状態にあるのは間違いない。しかし、だからこそ、サウジ戦の使い方は存外難しくなった。つまりは、いかにこの勢いを殺さず、かと言って勢いに乗り過ぎて過信を生むこともなく、準々決勝につなげるか、である。

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