サッカー五輪予選・タイ戦のカギは「DFラインを上げられるか否か」

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 リオ五輪アジア最終予選・北朝鮮との初戦を1-0で制し、日本は幸先のよいスタートを切った。

 本来ならば、「1-0での完封勝利」というのは、守備陣にとって最高の結果のはずだ。ところが、肉弾戦を制した北朝鮮との試合後や、その翌日の取材エリアで守備陣に浮かれた様子がまるで見られなかったのは、彼らにとって小さくない課題が生じたからだろう。

植田直通はU-23日本代表の守備ラインに欠かせない存在だ植田直通はU-23日本代表の守備ラインに欠かせない存在だ「ディフェンスラインがちょっと低すぎましたね」

 制空権を握り続けたセンターバックの植田直通(鹿島)がそう言えば、岩波拓也(神戸)もパートナーの言葉に同調するように言った。

「俺らが少しビビって後ろに下がってしまったので、FWとの距離が開いてしまった」

 北朝鮮戦ではそのために全体的に間延びしてしまい、セカンドボールを拾えず、2次攻撃、3次攻撃を浴びる状況を招いてしまったのだ。

 ゴール前で北朝鮮のロングボールを跳ね返す植田と岩波を見ていて思い出したのは、2010年南アフリカ・ワールドカップでの日本のセンターバック、中澤佑二と田中マルクス闘莉王のコンビだ。彼らには空中戦に絶対の自信があったため、ディフェンスラインを低く設定し、ゴール前で敵の攻撃を防ぎ続けた。むしろ、ラインを上げて裏のスペースを狙われることのほうを避けたかった。

 このときはチームとして、「自陣でブロックを築く」という戦術を採用したため、中澤と闘莉王の前には中盤の阿部勇樹、遠藤保仁、長谷部誠がポジションを取り、センターバックの弾き飛ばしたボールを次々と回収していった。

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