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【プロ野球】「一か八かでやるのがドラフトだと思ったら大間違い」 広岡達朗が巨人の織田翔希「強行指名」に疑問 (3ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Takarin Matsunaga

 過去には2004年、阪神が15歳の辻本賢人を指名した例がある。しかし、現役中学生をドラフトで指名するとなれば、育成選手を含めても異例のケースだ。

 今回、巨人が指名した関は、球団が設立した「ジャイアンツU−15ジュニアユース(多摩川ボーイズ)」の1期生。身長179センチ、体重82キロの恵まれた体格を持つ強肩強打の捕手で、U−15日本代表では主将も務めた。将来性を高く評価した巨人が、早い段階から育成環境を整えようとした意図は理解できる。

 一方で、この年齢でプロの世界に身を投じることが、本人の成長にとって最善なのか。野球の技術だけでなく、学業や社会性、人間形成の機会をどう確保していくのか。

 広岡氏の疑問は、プロ野球界全体で考えるべき課題を投げかけている。

【ソフトバンクの大量指名に潜む危うさ】

 さらに広岡氏が注目したのが、ソフトバンクの大量指名だった。

「もうひとつ気になったのは、ソフトバンクの指名の多さだ。支配下で9人、育成で15人。要するに、大量に選手を獲得することで二軍、三軍の体制を維持・強化し、母数を増やして当たりが出る確率を高めようということだろう。それ自体は理にかなっている。しかしその分、プロで通用しない選手も多く出てくるから、いずれ整理しなくてはならない。博打のような感覚で指名されたのでは、選手自身がかわいそうじゃないか」

 結局、ドラフト全体の総括を求めたものの、巨人とソフトバンクのことしか言及しなかった広岡氏だが、「目玉だった織田がメジャーに流出するとしたら、ドラフト会議そのもののあり方を根本から見直さなければならない」と懸念を示す。

 1965年に第1回ドラフト会議が開催されてから61年。日本のプロ野球を取り巻く環境は、大きく変わった。

 昨年の佐々木麟太郎、そして今年の織田翔希に象徴されるように、トップクラスのアマチュア選手にとって、NPBを経由せずにメジャーを目指すことは、もはや非現実的な選択ではなくなっている。

 同時に、育成制度の拡大によってプロ入りの可能性が広がる一方、選手の教育や将来設計を巡る新たな課題も生まれている。

 海外挑戦を志す有望選手の増加と、育成制度の拡大による低年齢化。プロ野球選手への道が多様化するなか、ドラフト制度は今、大きな転換期を迎えている。

著者プロフィール

  • 松永多佳倫

    松永多佳倫 (まつなが・たかりん)

    1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。

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