【男子バレー】SVリーグ開幕節で殊勲のエバデダン ラリー 「気持ちの持ちようが変わりました」
10月25日、昨季のSVリーグ王者である大阪ブルテオンは、新たに参入した北海道イエロースターズをセットカウント3-1で下した。
「選手たちを褒めたい」
ブルテオンのトーマス・サムエルボ監督が、試合後の記者会見でそう繰り返すほど、手を焼いた試合だった。
勝利の殊勲者のひとりになったのが、日本代表のミドルブロッカー、エバデダン ラリー アイケー(26歳)である。身長195cmという巨躯ながら、一瞬のスピードから高さに到達する爆発力はワールドクラス。ポテンシャルの高さはずっと評価されてきたが、それがいよいよ開花しつつある。
この日も、第4セットは一時、12-17と大きくリードされていたが、途中で入った西川馨太郎のサーブで相手を崩すと、ラリーがネット際を制して2本のブロックを決めた。これで連続ブレイクに成功し、17-19と逆転。サーブ&ブロックという勝利の仕組みを稼働させた。
また、ラリーはクイックでも迫力を見せた。攻防のなかで1本目のスパイクが拾われても、続けて呼び込んで仕留める"しぶとさ"も見せた。これで相手は撹乱され、ラリーは最高のおとりとして敵を縛りつけたのだ。
この1年弱で、ラリーは鮮やかな変身を遂げつつある。実直さという枠を超え、剛直さを身につけ始めている。漫画の人気キャラクターのようなその成長ぶりとは――。
北海道イエロースターズ戦でスパイクを決めるエバデダン ラリー アイケー(大阪ブルテオン) photo by SV.LEAGUE ラリーはファンキーでワイルドな風貌とは裏腹に、礼儀正しく、気遣いを忘れない。紡ぎ出す言葉も質朴で、控え目だ。
「パリ五輪は"選ばれなくてもともと"の精神でした」
「自分は、あくまでセッターの右腕ウエポンとしてやっていけたらいいです」
「『気づいたら、そこにいる』とか、その黒子感がうれしい!」
「中学時代は『将来の日本代表だな』とか言われて、自信もなかったので『なんでそんなにおだてるの?』って不思議に思っていました」
その純朴さは、ミドルブロッカーというポジションにおいては適性だった。しかし、「世界」で勝ち抜くにはプラスアルファが求められた。殻を破る必要があった。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

