アマチュア時代の錦織圭には「正直とても手を焼いた」 名コーチの指示に「それは現実的じゃない」と反論
錦織圭という奇跡【第49回】
ゲイブ・ハラミロの視点(2)
◆01松岡修造の視点>> ◆02細木秀樹の視点>> ◆03奈良くるみの視点>>
◆04石光孝次の視点>> ◆05玉川裕康の視点>>
◆06デイビッド・ロウ&マット・ロバーツの視点>> ◆07土居美咲の視点>>
◆08伊藤竜馬の視点>> ◆09喜多文明の視点>> ◆10中尾公一の視点>>
◆11富田玄輝の視点>> ◆12内山靖崇の視点>> ◆13添田豪の視点>>
◆14杉山愛の視点>>
◆ゲイブ・ハラミロの視点(1)>>アガシやシャラポワと同じ「王者の資質」を見た
「自分を高める厳しい環境に、身を置くことができるか? それが、成長へのカギです」
10月上旬に有明コロシアムで催された、錦織圭の引退セレモニー。その席に歴代コーチのひとりとして出席したゲイブ・ハラミロ氏は、錦織との思い出を語った。
今から20余年前──。盛田正明テニス・ファンドの奨学生としてIMGアカデミーに渡った錦織を13歳から18歳までナビゲートしたのが、当時ディレクターを務めていたハラミロ氏である。
当時16歳でアマチュアだった若き日の錦織圭 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 渡米後も錦織はジュニア大会等で結果を残し、アカデミー内でも一目置かれる存在となっていった。ただ、順当なその足跡のなかには、いくつかの「ターニングポイント」があったとハラミロ氏は言う。
ひとつは、錦織がIMGアカデミーに渡ってから2年が経とうとしていた頃のこと。ハラミロ氏はかねてから、錦織を「トップグループ」に引き上げたいと思っていたという。トップグループは将来有望と目される10~15人のジュニアで構成されるエリート集団。トッププロのヒッティングパートナーを務めるなど、ここに入れば練習環境やアカデミー内での扱いも一変する。
それまでの錦織は、ほかの盛田ファンドの留学生たちとともに、日本人コーチの指導のもと練習することが多かった。ただハラミロ氏は、「もうケイは、そのレベルではない」と確信していた。盛田氏も、ハラミロ氏の「ケイをトップグループに入れたい」との意見に賛成だったという。
ただ、錦織本人は、「まだ自分には早すぎるのでは?」と懐疑的だった。そこで、ハラミロ氏は一計を案じたという。
「アカデミーには『チャレンジマッチ』という練習生同士の試合があります。異なるレベルのグループの選手が対戦し、下の選手が勝てば上のグループに上がれるというシステムです。
この試合に、ケイを出させました。対戦相手は、トップグループのなかでもトップだったフィリップ・ベスター(カナダ)です。彼は長身のビッグサーバーで、年齢もケイより一歳上でした。
1 / 4
登録は簡単! チェックを入れてボタンを押すだけ 詳しくはこちら
著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。













