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【プロ野球】「金本監督が阪神を変えた」 原口文仁が明かす、18年ぶり優勝につながった組織改革と常勝軍団への転換点 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Shoichi Hasegawa

【「阪神タイガースで勝つ」という重圧】

── 先ほど「阪神タイガースとして勝つことの難しさ」というお話がありました。タイガースならではの難しさとはどういう部分にあるのでしょうか

原口 僕は埼玉出身なので、関東にいた頃はジャイアンツのニュースばかりでした。でも、実際に関西で暮らし、球団内に入ってみると、タイガースに対する在阪メディアの熱量というのは本当にすさまじい。結果がよくないときは容赦なく批判されますし、よければ大絶賛される。そういった周囲の浮き沈みが、よくも悪くもダイレクトに選手へ伝わってくる環境なんです。

── メディアだけでなく、ファンの熱量もよくも悪くも直撃するわけですね。

原口 ええ。メディアやファンのすさまじい熱量のなかで、いかに周りの声、情報に惑わされることなく、自分たちの野球を貫いて勝つか。そこが本当に難しい。選手はただグラウンドで野球だけをやっていればいいわけではなく、常に大きなプレッシャーや重圧を背負いながら戦っています。

 さらに、甲子園球場というグラウンド自体の特性もあります。天然芝と土というデリケートなグラウンドの難しさがありますし、何より広くて浜風もあるのでなかなか長打が出ない。そのなかでどう勝っていくか。だからこそ、優勝したシーズンのように、ピッチャーの強さと守りを中心とした野球が確立できた時は本当に強いんです。東京ドームや神宮、横浜スタジアムはバッティングがメインの球場になり得るので戦い方がまったく違いますが、甲子園を本拠地にして勝つための野球を組織としてやりきる難しさは、僕自身も身に染みて感じていました。

── 今の主力選手たちは、そのすさまじい重圧や球場の難しさをものともせずに結果を出していますね。

原口 本当にすばらしいことだと思います。今の選手たちはあれだけの大きな期待に応えています。テル(佐藤輝明)を筆頭に、みんながタイトル争いに絡んでくる。甲子園という球場の難しさをものともせず、あれだけのホームランを打って打点を挙げ、ピッチャー陣も球団が自前でしっかり育てた生え抜きの選手たちがタイトル争いをしている。これは本当にすばらしいことです。それだけの重圧や難しさがある球団だからこそ、勝った時の喜びやファンの熱狂は日本一だと思いますし、本当に特別な場所で16年間戦わせてもらったんだなと、あらためて感謝の気持ちでいっぱいです。


原口文仁 (はらぐち・ふみひと)/1992年3月3日生まれ。埼玉県出身。帝京高校3年の2009年、夏の甲子園大会出場。同年ドラフト6位で阪神タイガースに入団。ケガの影響で13年から育成契約となったが、16年4月に支配下登録に復帰すると、強打の捕手として活躍。5月には、育成契約を経験した野手では初の月間MVPを受賞。19年1月、大腸がんを公表。同年6月に一軍復帰し、代打サヨナラ安打を放つなど奇跡の復活を遂げると、7月のオールスターゲームでも2試合連続の本塁打を記録。不屈の精神で病を乗り越えた姿は、多くのファンに勇気を与えた。20年からは代打の切り札として勝負強さを発揮し、23年には38年ぶりのチーム日本一に貢献。25年シーズンをもって、16年間の現役生活に幕を下ろした。引退後は、野球界と社会への貢献を軸に、講演活動やメディア出演を行なっている

  『道なき道を 大腸がんという宿命を使命に変えて』(集英社)

阪神タイガースひと筋16年。

2025年に現役を引退した原口文仁による、引退後初の著書。


「これはがんです」
プロ野球人生半ばの26歳で告げられた現実。


2019年、大腸がん(ステージ3b)を患い、大腸を13センチ切除した。


手術は成功。再発の不安を抱えながらもプレーを続け、2024年に完治。


そして2025年、16年をともにしたタテジマのユニフォームを脱いだ。



病と向き合った日々、再びグラウンドへ戻るまでの舞台裏、支えとなった家族や仲間への思い──。


ユニフォームを脱いだ今だからこそ明かせる本音を、自身の言葉で綴った一冊。


妻、母、"師匠"と慕う城島健司氏、チームメイト・梅野隆太郎選手からの「特別寄稿」も収録。

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著者プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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