【プロ野球】選手会が守り抜いた「トライアウト存続」の舞台裏 復帰率2〜6%の現実と新たな価値 (4ページ目)
この日のトライアウトで唯一の本塁打を放った、元西武の渡部健人は、終了後にこう不安を打ち明けた。
「今日を迎えるまで、ずっと不安でした。自分は野球しかやってこなかったので、もし野球がなくなったら何をすればいいのかわからない。この先は、電話を手放さずに連絡を待ちます」
渡部の言葉が象徴するように、プロ野球選手の多くは子どもの頃から野球一筋で生きてきており、野球以外の選択肢に不安を抱えるのは当然だ。
そうした背景を踏まえ、今回のトライアウトでは球場内に"進路面談室"が設けられ、帰宅前にエイブルのキャリアコンサルタントと面談できる仕組みが用意された。そこで現在の状況から、野球を辞めた場合の希望職種、年収の希望などについて相談が行なわれたという。
エイブルHDの繁内優志シニアマネージャー(右)とキャリアコンサルタントの齋藤亜紀さん photo by Murase Hidenobuこの記事に関連する写真を見る
【支えとなる伴走者の存在】
この日、選手たちの面談を担当したエイブルHDの繁内優志シニアマネージャーと、キャリアコンサルタントの齋藤亜紀さんが、その手応えについて語ってくれた。
「選手のセカンドキャリア問題は、選手会でも長く課題として捉えられていると伺っていました。そのため、単に協賛するだけでなく、現実的な面でも支援できる仕組みをつくりたいと考え、このような面談の場を設けさせていただきました。実際に今日面談してみると、野球を続けたいという思いを持つ選手が多い一方で、もし引退して働くことになった場合、"どのような仕事があるのか情報は知っておきたい"と考えている方が意外と多いことを感じました。
私たちとしては"利用したいと思ったときにいつでも使ってください"というスタンスですから、たとえば今後も野球を続け、3年後、5年後に引退したときにでも思い出していただければ、ぜひ力になりたいと思っています。今年だけでなく、来年以降も選手会にフラれない限り、続けていけたらと思っています」
かつて、ある選手は「プロ野球選手は、日本における最強の資格だ」と言った。プロ野球選手をはじめとするアスリートは、目標に向かって自らを律し、努力と忍耐を積み重ねてきた人材だ。その姿勢は企業からも高く評価され、引く手あまただと聞く。
4 / 5

