【プロ野球】選手会が守り抜いた「トライアウト存続」の舞台裏 復帰率2〜6%の現実と新たな価値
選手会主催・トライアウト2025(前編)
とにもかくにも、今年もトライアウトは存続したのである。
毎年11月のプロ野球の風物詩となっていた「12球団合同トライアウト」。昨年、「一定の役目を終えた」としてNPB主催での開催は終了し、一時は存続が危ぶまれた。しかし今年からは選手会が主催を引き継ぎ、冠スポンサーもついた『エイブル TRYOUT 2025 〜挑め、その先へ〜』として装いを新たに、11月12日、広島・Mazda Zoom-Zoom スタジアムで再出発することになった。
38人の選手が参加した2025年のトライアウト photo by Nishida Taisukeこの記事に関連する写真を見る
【トライアウトを存続させた理由】
トライアウトを受けても意味がない──近年、言われ続けてきた言葉である。
トライアウト参加者のNPB復帰率はおよそ2〜6%。プロスカウトは1年間のプレーを通じて選手の実力を把握しているため、トライアウトでどれだけアピールしても、それが採用に直結するわけではないことは、今では広く知られている。トライアウトを受けようが、受けまいが、必要とされる選手が採用される。それが現実だ。
さらに、メディアの注目が年々高まるなかで、いわば"さらし者"になることを嫌い、実績のある選手ほどトライアウトへの参加を避ける傾向が強まっていた。
もはや形骸化して久しいとも言われてきたトライアウトだが、その一方で開催する意義は確かに存在した。NPBだけでなく、社会人野球や独立リーグ、海外リーグのスカウトが訪れ、さらに過去には競輪界の中野浩一氏や、一般企業に就職した元プロ選手がスカウトとしてブースを構えることもあった。トライアウトは、選手たちにとってセカンドキャリアへの入口としても機能していたのである。
さらに、トライアウトをファンや家族、これまで支えてくれた人たちに最後のユニフォーム姿を見せる"引退の場"として出場するケースもあり、その独特のイベントは選手にとって存在意義は十分に感じさせるものであった。
昨年のトライアウト終了後、日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「選手が開催を望むのであれば、やらない理由はない。これからあらゆる可能性を探っていきます」と語っていた。今回のトライアウト開催について、森事務局長は次のように話す。
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著者プロフィール
村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)
1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。




















