検索

【プロ野球】ケガなき1年を過ごしたヤクルト・奥川恭伸に訪れた次なる試練 「今のままでは抑えられない」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 ブルペンではサイドスローで投げることもあった。

「『もっと腕を縦振りで、縦振りで』って言われるんですけど、そんなの自分でもわかってるんですよ(笑)。それなのに『横振りだ、横振りだ』って言われ続けるから、『じゃあもう横から投げてやるよ!』って思うくらいでしたね(苦笑)。あの時期は、本当にストレスがたまっていました」

 また、ブルペンで真っすぐだけを43球投げた日もあった。今シーズンの真っすぐは、被打率.349とかなり打ち込まれた球種だった。

「もともと真っすぐありきで、変化球を生かしていくスタイルだったのですが、その真っすぐを簡単に弾き返された。もうピッチングにならなかったですし、勝負にならなかったですね。そこでもう一回、打たれないというか、打ちづらい真っすぐを目指そうと。ここ(戸田)では、フォームの修正に取り組んでいました」

 その成果は、6月になりようやく表れるようになる。

つづく>>

 『怪物 江川卓伝』(著・松永多佳倫)
令和に蘇る怪物・江川卓の真実──。
光と影に彩られた軌跡をたどる評伝が刊行!
高校時代から「怪物」と称され、法政大での活躍、そして世紀のドラフト騒動「空白の一日」を経て巨人入り。つねに話題の中心にいて、短くも濃密なキャリアを送った江川卓。その圧倒的なピッチングは、彼自身だけでなく、共に戦った仲間、対峙したライバルたちの人生をも揺さぶった。昭和から令和へと受け継がれる“江川神話”の実像に迫る!

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

キーワード

このページのトップに戻る