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【プロ野球】「選手たちの目は死んでいた」 髙津臣吾が振り返る監督就任時の衝撃とチーム再建までの軌跡 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

── 9月は4つの引き分けをはさむ9連勝があり、22日に首位に立ちました。そして10月5日からの巨人、阪神との首位攻防6連戦では5勝1敗と勝ちきりました。

髙津 小川、サイスニード、(原)樹理を中5日で起用して、セットアッパーの清水(昇)と抑えのスコット(・マクガフ)には4連投してもらいました。やったことのない起用でしたが、ここが勝負の時だと思ったし、ほとんど賭けでした。

 自分の頭の中ではいくらイメージできても、動かすのは生身の身体ですからね。ただ、勝負の分かれ目となる残り1カ月、あと数試合となった時に、尻を叩いてでも、首根っこをつかんででも、やらない以外ないだろうと腹をくくる瞬間があるんです。

── 賭けに出るため、周到な準備をしていたと聞きました。

髙津 巨人、阪神の6連戦の前の、たしか広島戦だったと思います。この3連戦では、スコット、清水、田口(麗斗)を休ませるために、「どんなに競った場面でも絶対に使わない」と決めて臨みました。そこで、コンちゃん(今野龍太)を後ろのポジションに回したところ、見事にピシャッと抑えてくれたんです。

 そのおかげで、万全の態勢で6連戦を迎えることができた。頭の中で描いていた準備が計画どおりに進み、本当に満足のいく1カ月だったと思います。もちろん、「失敗したらどうしよう」という不安も少しはありましたが、98〜99パーセントは成功するイメージしかなかったですね。

── 監督の賭けに応えた選手たちの姿は、どう映りましたか。

髙津 いやー、ほんとすばらしかった。決して優秀な投手陣ではないんですけど、それぞれが自分の役割を完璧にこなしてくれた。100点以上の答えを出してくれました。

── 10月26日、DeNA戦に勝利して優勝を決めました。

髙津 そのシーズンの苦しかったことや2年連続最下位だったこと、それまでのいろんな出来事を思い出すことが多かったですね。もちろんうれしさはありましたが、それ以上に「しんどかったなあ」という気持ちのほうが強かったです。

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