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【プロ野球】村上宗隆が語った7年前の戸田の記憶と一軍を目指す若手へのエール (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

【替えの効かない選手になりたい】

 長岡秀樹(24歳)は4月26日の中日戦で、右ひざの後十字靭帯を損傷。戸田の室内練習場や球場で費やした時間を、一軍復帰が近づいた頃に「どうにかして自分のプラスにとらえようとした3カ月でしたね」と語った。

「本当に試合に出たい気持ちはありましたが、起きてしまったことは仕方ありません。だから、『つらい思いをしてよかったな』と思えるようにしたい。それだけでしたね」

 プロ1年目、2年目はコロナ禍に見舞われ、「最初は右も左もわからないなか、この暑さで育成練習をやっていたんです」と、戸田球場で毎日のように過酷な練習と向き合った。今回のリハビリでは、自分とどのように向き合ったのか。

「ただやらされていた当時と比べれば、今は自分の時間をある程度とらせてもらえますし、自分で考えられるようになった。自分で課題を決めて、結果も気になりますが、内容とか質とか、こういうスイングができたかどうかといったことを意識しています」

 試合前練習では声出しでチームを活気づけ、バント練習する新人の松本龍之介に「一球で泣くし、一球で喜ぶしね」とアドバイスする姿が印象に残った。

「僕にしかわからないことがあれば伝えていきたいですし、ここにいるメンバーが上で活躍しなければ、ヤクルトは強くなれませんし、勝ち続けることもできないと思うので一緒に頑張りたいですね。そのなかで、自分は将来的に替えの効かない選手になりたいというのが一番ですね」

 長岡は8月1日の阪神戦から戦列復帰。第1打席でレフトへ二塁打を放った。

【一軍復帰に向け試行錯誤の毎日】

 ヤクルトの先発陣は、一見すると豊富に見えるものの実際には苦しく、左の中継ぎ陣では新人の荘司宏太(25歳)が孤軍奮闘している状況だ。

 2021年のドラフト1位左腕・山下輝(26歳)は、1月は戸田でリハビリチームからスタートしたものの、開幕からは先発投手として登板を重ねている。ここまで14試合で2勝3敗、防御率3.91ではあるが、53イニングを投げて与四球はわずか10個、被本塁打も2と好材料が揃っている。

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