金子侑司は自身の引退試合で若手選手に感謝 粋な計らいに「涙をこらえるのに必死だった」 (2ページ目)
【涙をこらえるのに必死だった】
── あらためて引退を決意したのは?
金子 いろいろ考えましたが、結論としてはチームが新旧交代の過渡期で、自分が翌年スタメンのなかにいることを想像できなかったということでしょうか。
── 金子さんの引退試合で、8回裏に一死満塁から9番の元山飛優選手が全球見逃して三振に倒れます。ゲッツーの可能性がある場面で、元山選手がわざと三振して金子さんに回しました。
金子 ネクストサークルで待っている時に、元山と目が合いました。その時に「振らないで、自分に打席を回そうとしてくれているんだ」と思って......胸が熱くなりました。野球人生をかけている若手にとって、1打席はものすごく大事なんです。そんななか僕のために1球も振らずに三振してくれて、素直にうれしくて、泣きそうなるのを必死にこらえていました。
── 若手選手から慕われていたのですね。ふだん、若手選手にはどんなアドバイスをしていたのですか。
金子 なんでしょうね......。ただ、僕は下の子たちが好きで、純粋にかわいかったです。悩んでいることがあったら、一緒にお酒でも飲みながら話を聞くし、若い子たちの心の拠り所になれたらいいなという感覚はありました。基本、誘われたら断らないタイプでしたので(笑)。
── その現役最後の打席では、「ネコ・ゲン」コンビの源田壮亮選手が何か話しかけていましたね。
金子 何か声をかけてくれたのですが、もう涙をこらえるのに精一杯で覚えていません。その前に珍しく本塁打を打って、引退試合の僕よりも目立っていましたが......(笑)。
── スタンドでは、男性ファンも男泣きしていました。
金子 球団が引退試合を開催してくれて、ファンのみなさんもチケットを買ってくれて完売になりました。ほんとに選手冥利に尽きると言いますか、ありがたいことです。プロ野球人生のなかでも一番思い出に残る試合でした。
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