西武・渡部聖弥がプロで対戦して驚いた投手は? 「あそこまでカーブの曲がるピッチャーはいなかった」 (4ページ目)
── そして第3打席は7回、この試合での最終打席となりました。
渡部 最後の打席だし、バッテリーからすればインコースを見せておくことで、翌日の試合にも生きてくるんじゃないかと。インコースで体を起こされると、外へのアプローチが悪くなる。意識させるためにも、何球かインコースを見せてくるかなって深読みしすぎたんです。
── あの打席は、全6球のうちカーブが4球でした。
渡部 2球目のカーブは狙っていなかったので見逃しました。4球目に追い込まれたカーブは、本来なら狙っていなくてもファウルにできる球でしたが、スピンがしっかりかかっていて、想像以上に落差があったので見逃しました。最後三振した球は、それまでインコースにカーブが来てないことが頭にあって......それで振ってしまいました。
── 「全打席で収穫がないと成長できない」と言っていましたが、レベルの高いプロの投手と対戦することで成長できている実感はありますか。
渡部 先程のモイネロ投手との対戦は、インコースを意識しすぎて、こうなったという失敗談です。逆に、もしインコースを意識していない状態だったら、どういう対応ができたのか。結果はわからないですけど、いろいろ考えることで、完成形に近づいてくるんじゃないかと。ただ、ちょっと打てなくなると、深読みしすぎるというか、さっき話した本じゃないですけど、思考が"ぐちゃぐちゃ"になってしまうことがあります。
── 思考が遠回りになってしまう?
渡部 やっぱり、頭で考えすぎると手が出なくなったり、動きづらくなることがあるので、もっとフラットな状態で打席に立ちたい時もあります。
── シーズン前、2025年の目標について「開幕スタメンと打率3割」を掲げていました。前者はすでに達成されましたが、後者は達成できそうですか。
渡部 目指せる可能性はあると思います。ですけど、率を気にしちゃうとよくないので......。最後5試合くらいになったら、「打率、どれくらいかな?」と気にします。打率は変動するじゃないですか。それよりもヒット数やホームラン、長打数とか増えていくものをしっかり積み重ねていきたいですね。
渡部聖弥(わたなべ・せいや)/2002年8月31日生まれ。広島県出身。広陵高から大阪商業大に進み、1年春からレギュラーとして出場。2年秋にはリーグ新記録となるシーズン5本塁打をマーク。4年秋には首位打者とMVPを獲得。同年ドラフトで西武から2位で指名され入団。開幕スタメンを果たすなど、1年目からチームの中心選手として活躍中。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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