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プロ野球3球団でプレーした米野智人が語る選手のセカンドキャリア 自身は飲食店経営、イベントMCも  (2ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

 そして昨年12月には、元チームメイトで「同級生なので思い入れが強い」と話す青木宣親氏の引退を記念したトークショーも開催。石川雅規をゲストに迎えたイベント当日には、MCとして会場を盛り上げた。

「元プロ野球選手が進行を務めることで、『選手の素に近い表情を引き出せるのではないか?』という思いでやらせてもらっていますが、アンケートに書かれているみなさんの優しさと厳しさに溢れたコメントを見ていると、まだまだ成長の必要も感じています。参加してくださる方々にもっと楽しんでいただけるように、これからも努力を続けていきたいです」

【栗山英樹監督から学んだリーダーとしての振る舞い】

 米野が行き詰った時にふと思い出すのは、引退を決めた日本ハムで出会い、「組織における信頼関係の築き方や、やる気の引き出し方を学ばせてもらった」と話す栗山英樹監督の言葉だ。

 西武を自由契約になった2015年のオフに、捕手兼二軍バッテリーコーチ補佐として日本ハムの一員に加わった米野は、シーズン開幕後、二軍の拠点がある千葉県鎌ヶ谷で自身の調整や、投手を指導する時期が続いた。

「僕が二軍で過ごしていた時に、栗山監督から『ヨネの力が必要になるタイミングが絶対に来るから』と話していただいたことがあって、今もその言葉が印象に残っているんです」

 米野は当時を振り返りつつ、二軍選手の心情についてこう続ける。

「出番が限られる選手は、少なからず不安を感じながらシーズンを過ごしています。でも、チームリーダーの監督から『君は大事な選手だ』と伝えられたら、きっと選手のモチベーションは上がるでしょうし、『一軍から声をかけてもらった時に向けて、しっかり準備しよう』という気持ちが湧き上がり、毎日を大切に過ごすようになる。相手の性格や置かれている立場に理解を示しながら、それぞれのやる気を引き出す言葉を選ぶ栗山さんの姿は印象的でした」

 ヤクルト時代は古田敦也氏の後任として正捕手を任されるも、イップスによってポジションを失い、トレード、30歳での外野手転向も経験。その現役最終年に生まれた出会いが、自身が目指すリーダー像の指針になり、その後の成功を支えている。

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