プロ野球3球団でプレーした米野智人が語る選手のセカンドキャリア 自身は飲食店経営、イベントMCも
米野智人インタビュー 後編
(前編:「ポスト古田敦也」と呼ばれた米野智人が振り返る重圧 チャンスを掴みかけた時に訪れた体の異変>>)
ヤクルト、西武、日本ハムの3球団でプレーし、2016年に現役を退いた米野智人氏は、飲食店を経営するWestside合同会社の代表として、充実したセカンドキャリアを歩んでいる。
青木宣親(右)を招いたトークイベントでMCを務めた米野氏(写真:本人提供)この記事に関連する写真を見る
すでにベルーナドームで営業している2店舗(ヴィーガン料理専門店「BACKYARD BUTCHERS」、ポテト&チュロス「& Butchers」)に加えて、今年の春には豊島区池袋にある商業施設WACCA IKEBUKUROに「WACCA COFFEE CLUB(ワッカコーヒークラブ)」をリニューアルオープン。米野氏の父が経営する喫茶店「珈琲倶楽部イニング」(北海道札幌市)から取り寄せた本格的なコーヒーが楽しめるとあって、評判は上々だ。
プロ野球関係者を招いたイベントのMCなども務める米野氏に、引退後のキャリアについて聞いた。
【「思い入れの強い同級生」青木宣親とトークイベントも】
米野は、堅調な飲食店の経営に加えて、近年は野球に関連するイベントの企画やMCとしても活躍している。
「もともとは、話すことがあまり得意ではありませんでした」と語る米野氏がトークショーを始めたのは2019年のこと。
元プロ野球選手のG.G.佐藤氏(元西武など)を介して、イベントを主催する(株)IforCの代表が、米野氏が経営する下北沢の店舗(現在は閉店)を訪れたことに端を発する。
トークショーの企画に話題が及ぶと、そこからとんとん拍子で話が進み、やがて自身の店舗に集った約20人を前にしてイベントのMCを任された。だが......。あまりのたどたどしい米野の進行に、その場に居合わせた参加者からは不安の眼差しが注がれたという。
「縁があって人生初のMCに挑戦させてもらいましたけど、やっぱり思うようにはいかなくて、難しさを感じました。本番を終えたあとは少し落ち込みましたけど、本番前に感じる緊張や不安、そして仕事を終えた後の達成感は何となく野球に通じるものを感じて。それが僕のやる気を引き出してくれたのかもしれません」
初回の失敗にも挫けず、その後も自身の店舗や、後に店を構えることになるWACCA IKEBUKUROのスペースで、元プロ野球選手を招いたイベントを実施。米野は「すぐに辞めてしまったら、その仕事が自分に向いているかどうかすらもわからない」という信念で経験を積み重ねていった。
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著者プロフィール
白鳥純一 (しらとり・じゅんいち)
ライター。ソウ・スイート・パブリッシング所属。WEBサイト「キングギア」でのライティングをきっかけに取材活動を開始。スポーツの取材やインタビュー記事を中心に執筆を続けている。