故郷で醤油も作る元ヤクルト荒木貴裕が振り返る、新人時代の宮本慎也の言葉「若いうちは、みんなが休んでいる時に練習しろ」

荒木貴裕インタビュー　前編

　ヤクルトで14年間プレーし、2023年に現役を退いた荒木貴裕氏。現在は故郷・富山県の名産品の魅力を発信する「富山いいものPROJECT」に取り組んでいる。その第一弾として、荒木氏が生まれ育った小矢部市にある老舗醤油店、畑醸造とのコラボレーションによる醤油を発売し、人気を博している。

　野球とは無縁のように思える醤油を作ることになったきっかけや、ヤクルトの苦しい新人時代を支えたという宮本慎也の言葉などを、荒木氏に聞いた。

故郷・富山で、自ら醤油作りを行なったという荒木氏（写真：本人提供）この記事に関連する写真を見る

【手作りの醤油で富山県の魅力を発信】

　荒木氏が生まれ育った富山県小矢部市は、石川県との県境に位置する自然豊かな街だ。木曽義仲（源義仲）が平家軍を破った倶利伽羅峠（くりからとうげ）があることなどでも知られ、近年は金沢市、富山市のベットタウンとして発展している。

「僕は、高校から引退まで富山を離れていましたが、久しぶりに地元に戻ると、故郷にも素晴らしいものがたくさんあることに気づかされて。『その魅力を発信し、地元に還元できる方法はないだろうか？』という思いがプロジェクトを始めるきっかけでした」

　荒木とのコラボレーションが実現した畑醸造は、1929年（昭和4年）創業の老舗。レンガ造りの麹室で熟成させた手作りの醤油を販売してきた蔵で、伝統的な醤油作りを今も受け継いでいる。

　昨年、都内にある富山料理の店でファン向けのイベント実施したことから、蔵との縁が生まれた。実際に荒木が蔵に出向き、「物作りの大変さを肌で感じながら、自身の手で作り上げた」という醤油は計３種類で、野球ファンを中心に人気を博しているという。