日本ハム・新庄剛志監督3年目の変貌 鶴岡慎也が語るファイターズ快進撃の秘密 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【新庄監督が目指す守り勝つ野球】

── その一方で、チーム失策数は124試合で68個とリーグワーストです。

鶴岡 失策数は多いですが、全体的に球際に強くなっています。また新庄監督は郡司に「(サードの)守備はすぐにうまくならないから、少しずつやっていこう」と激励し、郡司は気分的にラクになったそうです。そのあたり新庄監督の人心掌握術というか、選手にしっかり寄り添って采配しているのがわかります。

── 新庄監督はスクイズやダブルスチールなど、積極的に動かしてくるイメージがあります。

鶴岡 8月の試合で2者連続スクイズというのがありましたが、得点する確率の高い策を選択しています。決して奇策ではなく、選手たちもしっかり理解したうえで野球をやっている。逆に相手チームのほうが警戒しすぎて、カウントを悪くしてしまう......というのはあるかもしれないですね。

── 新庄監督の選手へのアプローチはいかがですか?

鶴岡 マスコミには厳しいことを言いますが、先述の生田目や郡司にしてもフォローが巧みです。就任してから2年間は、選手たちの好不調の波が同時期に来た失敗体験を鑑みて、状態が落ちた選手はファームで調整させ、うまくリフレッシュさせている。チームとして、シーズンを通して大きく落ち込むことがなくなりました。

── そういえば、新庄監督は"野村(克也)チルドレン"のひとりですね。

鶴岡 かつて野村監督はヤクルト時代に「1年目に種をまき、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせる」と言って、優勝に導いたと聞きました。まさに新庄監督も同じように、選手たちをじっくり育て、3年目に勝負をかけて結果を残している。また日本ハムは攻撃陣がクローズアップされますが、やはり「投手陣を中心とした守り勝つ野球」が実践できるようになり、安定感が出てきたと思います。今シーズンの日本ハムは「負けないチーム」に変貌しました。

── 今後はクライマックスシリーズ進出に向けての戦い、そして短期決戦を見据えた戦いとなります。

鶴岡 ソフトバンクには独走を許しましたが、3位のロッテには17勝6敗1分と大きく勝ち越しています。若手を中心とした勢いとポテンシャルを考えれば、"下剋上"も十分に考えられるのではないでしょうか。とにかく新庄監督3年目の日本ハムは、何かを起こしてくれそうで魅力満載です。


鶴岡慎也(つるおか・しんや)/1981年4月11日、鹿児島県生まれ。樟南高校時代に2度甲子園出場。三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、2002年ドラフト8巡目で日本ハムに入団。2005年に一軍入りを果たすと、その後、4度のリーグ優勝に貢献。2014年にFAでソフトバンクに移籍。2014、15年と連続日本一を達成。2017年オフに再取得したFAで日本ハムに復帰。2021年オフに日本ハムを退団した

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