ヤクルト戦力外のち楽天から想定外のオファーに「まさか...」 20代でコーチ就任の奥村展征「新しい世界を見まくり」 (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【現役に未練なし、ファンに大きな感謝】

 戦力外通告を受けた時には現役続行を希望していただけに、競技者としての未練はないのか気になっていたが、奥村は「ないですね」ときっぱりと言いきる。

「(ヤクルトで)優勝した時にもベンチにいさせてもらったのは格別でしたし、やりきった感じはありますね」

 プロ一軍での生涯打率は.199と、2割に届かなかったが、ファンに愛された選手だった。

 現役引退から楽天コーチ就任までがあっという間で、引退の報告もInstagramで済ませただけ。それだけに、ヤクルトファンも奥村の言葉を欲していたのではないだろうか。取材の最後にファンへのメッセージをもらった。

「巨人在籍1年で人的補償でヤクルトに獲得していただいて、その時点でファンのみなさんは温かく迎え入れてくださいました。そこから始まって、いろんな人に温かい言葉をかけてもらったおかげで、一年一年、本当に前向きに過ごせました。ケガをしたりと苦しい時期も多かったんですけど、リハビリしている時にもファンの皆さんの声は本当に力になりました。その力がなかったら、10年間も現役生活を送ることはできなかった。本当に感謝しています」

仙台市の森林どりスタジアム泉にて仙台市の森林どりスタジアム泉にて

終わり

前編<奥村展征「必要とされる選手になりたかった」 愛された元ヤクルトのムードメーカーが明るさの裏側で持ち続けた危機感>を読む

【プロフィール】
奥村展征 おくむら・のぶゆき 
1995年、滋賀県生まれ。日大山形高3年夏には主将として甲子園に出場し、山形県勢初のベスト4に貢献。ドラフト会議で読売ジャイアンツから4位指名を受け、2014年からプロ野球選手生活をスタートすると、翌2015年には東京ヤクルトスワローズへ移籍。ヤクルトのムードメーカーとしてファンに親しまれるも、2023年に戦力外通告を受け、現役引退。2024年から東北楽天ゴールデンイーグルスで、二軍内野守備走塁コーチを務めている。

プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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