ヤクルト戦力外のち楽天から想定外のオファーに「まさか...」 20代でコーチ就任の奥村展征「新しい世界を見まくり」 (2ページ目)
【ムードメーカーならではの弱点が課題】
奥村がコーチに就任して約半年が過ぎた頃に楽天の二軍の試合を訪ねると、大きな声を出してチームを鼓舞する奥村がいた。
一塁のコーチャーズボックスからベンチに引き上げる際には、守備につく選手に「ナイスバッティング!」「よかったよ!」などと声をかけていたのも印象的だった。その姿はヤクルトの元気印だった頃と何ら変わりはない。
それでも、これまでとは違う形で野球に関わることになり、気づくことも多い。
「新しい世界を見まくりっすね。選手の時に、(指導者に対して)申し訳なかったなって思うことがいっぱいあります、本当に......」
奥村はこの半年間をこんな言葉で振り返る。また、指導者となって新たな課題にもぶち当たっている。
「僕は、選手のいいところばっかり見えるんですよ。いいところを見つけて『おお、すごいよかった!』って褒めてあげる。欠点もわかったうえで褒めるならいいかもしれないですけど、そこしか見えていないというか......。本人が損をしてしまうので、欠点や間違っていることは見つけて、早く指摘してあげないといけないんですけど、叱ったり間違っていることを指摘したりするのってなかなか難しいですね。この半年はそこにけっこう苦労しています」
真剣な表情で選手たちの練習を見つめる
もともと乗せ上手な人間だ。それだけに、相手にマイナスの言葉をぶつけるのは苦手だったのかもしれない。だが、コーチになったからにはそんなことは言っていられない。
「いいプレーが起こった時は当然、よかったって言ってあげるんですけど、一緒に喜んでいる場合ではない。よかったなかでも、もうちょっとこうできたんじゃないのかなっていうのを見つけられるように、もっと意識していかないといけないなと思っています」
イニング間になると、奥村はお尻のポケットから分厚いノートを取り出す。「書いているふりです(笑)」と冗談めかすが、「やっぱ、できるだけいろんなところを探したいじゃないですか」とメモをとる表情は真剣そのものだ。
試合中にはプレーを見ながらノートにメモしていた
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