全員ドラ1「早大三羽烏」最後のひとり・福井優也の現在地 NPB復帰は「こんなんじゃ無理」それでも「今の野球をやりきる」 (2ページ目)
【貯金を切り崩しながらの挑戦】
NPBのように恵まれた施設はなく、もちろん球団専用の球場もない。練習の拠点としている須賀川市のいわせグリーン球場までは車でも片道約30分かかる。グラウンド整備も選手たちが自ら行なう。
春季キャンプもあるにはあるが、沖縄や宮崎といった南国ではなく、比較的温暖な福島県内、太平洋に面した楢葉町で行なっている。
もちろん待遇もNPBの時とは大きく異なり、貯金を切り崩しながらの生活を送る。
「仙台の家賃もこっち(福島)の家賃もあるので、それが2年、3年と続くとちょっと厳しい。独立リーグのチームとしてはしっかり(給料を)もらっているほうだと思いますが......。そういう意味でもチームに貢献したいと思っています」
そんな覚悟を持って臨んだ福島での1年目。2023年シーズンは、春先こそ「ゲームをつくれたらいいと思って投げていた」と言い、6回程度を投げて2〜3失点という試合が続いた。
そして、シーズンが深まるにつれ、調子が上がっていった。8月25日には新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ戦でノーヒットノーランも達成している。
「人生初なんですよ。中学、高校、大学でもやっとことがなかったので。自分が思っているよりも、周りの人が喜んでくれて、反響が大きかったです」
シーズンが終わってみれば、17試合を投げて10勝5敗、防御率2.28で、BCリーグ北地区の最優秀防御率のタイトルを手にした。無双とはいかずとも、NPB経験者として面目躍如と言える成績だった。
「1年間、しっかりローテ(ーション)を守れて10勝できたこと、防御率のタイトルを獲ることができて、このチームに来てよかった。期待されていたと思うので、結果でチームに貢献できたかなと思います」
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