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全員ドラ1「早大三羽烏」最後のひとり・福井優也の現在地 NPB復帰は「こんなんじゃ無理」それでも「今の野球をやりきる」 (5ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・撮影 text&photo by Wada Satoshi

【渇望、怒り...抑えきれなかった気持ち】

 チームも最下位と苦しんでいる(※6月9日時点)。だが、誰よりも勝利への執念を持ち合わせているのが、福井かもしれない。

 それが思わず表出した試合があった。

 5月12日、福井が先発登板した群馬ダイヤモンドペガサス戦でのことだった。チームは1点を先制したものの、4回に味方のエラーも絡んで二死一・三塁のピンチを迎えると、福井のワイルドピッチで1点を許した。

 その直後だった。「ボールの交換でタイムがかかっていると思っていたのですが......」。しかしタイムはかかっていなかった。インプレー中にもかかわらず、福井は怒りをぶつけるかのようにボールを地面に叩きつけた。

 結局、これにより、走者には2つの進塁が認められ、2点目を献上。この試合の福井は自責点1ながら、これが決勝点となり、敗戦投手となった。

「あれはやってはいけなかった。反省しています」と"事件"を冷静に振り返る。

 ただ、福井は感情を露わにするタイプの選手。思わず熱くなってしまったのは、勝利を渇望する気持ちの表れでもあった。

「僕は今でも勝ちたいと思っていますし、打たれたくない。その気持ちがあの試合では悪いほうに出てしまった......。

 でも、やっぱりみんなには熱くなってほしい。うちの選手たちは全然やりきっていない。やれることはもっとあるだろうと僕は思っているんですけど。

(岩村明憲)監督も言っていますけど、寝て起きてプロ野球選手になれるわけではない。もっと向上心を持ってやってほしい」

 あの行為は非難されても仕方ないが、上を目指す仲間たちに福井はこんな思いを抱いている。

「結果を出したい。コーチ兼任となり指導も大事ですけど、やっぱり選手として結果を出すことが僕は大事なのかなと思います。結果が出ていない時期でストレスもたまったりするなかで、自分に負けちゃダメだなと思いながらやっています。

 僕は先を考えられないタイプなので、今できることをやれたらなと思っています。今の野球をやりきる。その先に何かがあるかなと思っています」

 現役生活がカウントダウンに入っているのは十分理解している。でも、現役選手であるうちは"反骨心"を持って懸命にプレーするつもりだ。それこそが後進への強烈なメッセージだ。

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