ヤクルトのサンタナはなぜ高打率を残せるのか? 伊勢孝夫が「3つのポイント」を挙げて解説
近年、プロ野球は"投高打低"が顕著になっている。今シーズンもここまで(6月1日現在)防御率1点台の投手はセ・パ合わせて8人なのに対し、3割打者は田宮裕涼(日本ハム)、近藤健介(ソフトバンク)、ドミンゴ・サンタナ、長岡秀樹(ともにヤクルト)の4人と、その傾向は変わらない。注目は、そのなかで唯一の右打者であり、外国人選手のサンタナだ。来日4年目を迎えたサンタナの好調の理由はどこにあるのか。名コーチとして数多くのスラッガーを育てた伊勢孝夫氏が解説する。
現在セ・リーグ首位打者のサンタナ photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【好調を支える3つのポイント】
技術面では、これまで3年間とそれほど大きな変化は感じられない。とはいえ、3割を超える打率を残しているだけのポイントは確実にある。
サンタナは、タイプ的には外国人選手特有の上体で打つ打者だが、ガチガチに力んで構えるのではなく、手を柔らかく自由に使えている。これがひとつ目のポイントである。力を入れるのはインパクトの瞬間だけ。だから、外角の真っすぐ、変化球ともコンタクトできて、ライト方向に持っていける。
外角をこすったようなあたりでファウルになるかと思いきや、ライト線ツーベースになるシーンをよく見るが、それも手の柔らかさがあるからだ。そして真ん中から内に来た球に対しては腕をたたんでヒットにできる。インコースにもヒットゾーンがあるのは、こうしたうまさによるものだ。
では次に、なぜそうしたスイングをキープできているかだが、これはしっかり軸足で立っているためだ。この軸回転のバッティングが、ふたつ目のポイントである。
サンタナの打席を見れば、前足(左足)のつま先が浮いているのがわかるだろう。つまり、前足はまったく支えになっておらず、体重が軸足に乗っている。この状態から軸を回転させて打つから、よりパワーが発揮されて強い打球が打てる。
イメージとしては、左右の違いはあるが、かつてメジャーリーグでホームランを量産したバリー・ボンズの打ち方に近い。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。