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ヤクルトのサンタナはなぜ高打率を残せるのか? 伊勢孝夫が「3つのポイント」を挙げて解説 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 ちなみに、こうした軸足回転は、誰もができるわけではない。どうしてもタイミングが遅れがちになるのだが、サンタナは強い上半身と柔らかい腕の使い方でカバーできているのだ。

 こうしたスイングができていれば、必然的にボールを長く見ることができる。我々の時代は、「ボールを引っ張ってくる」と表現したものだが、長く見られるということはそれだけ見極めがよくなり、ミートする確率も上がる。

 とはいえ、この軸足スタイルで外角の球を引っかけることなく逆方向に打てるのは、私も30年以上のコーチ経験があるが、やはり独特というしかない。

【日本スタイルへの対応力】

 ただ冒頭でも記したように、こうした技術的なポイントは、昨年までと大きく変わっていない。球種を読んで打つタイプでもない。

 3つ目のポイントを挙げるとすれば、3年間日本でプレーしてきたなかで、変化球の多さを実感し、アジャストしようと努力してきた成果が実を結んだのだろう。

 初球から変化球、決め球も変化球。そんな日本のスタイルを、頭ではわかっていても簡単に切り替えて打席に立てるものではない。これまで多くの外国人選手がこの攻めに苦しみ、苛立ち、自分のスタイルに固執して失敗した例は数えきれない。

 4年目ともなると、そうした選手たちを反面教師にし、いわば"日本での稼ぎ方"をきっちりつかんだということではないだろうか。日本のバッテリーの攻め方を研究し、対応する。これは日本で成功する外国人選手に共通するポイントである。

 あとサンタナにとって追い風となっているのが、ヤクルトのチーム事情だ。下位に低迷しているから、どのチームもバッテリーの攻めはそこまで厳しくない。

 とくに開幕後は5番に入り、村上宗隆のあとを打っていた。村上はシーズン序盤、やたらと四球が多かった印象があるが、相手からすれば「村上に打たれるくらいなら......」という状況で打席が回っていた。いわば"おいしい場面"での打席が多かったというわけだ。

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