DeNAは「今永ロス」に備えるべし 逸材ひしめく大学生からドラフトで獲るべきは? (2ページ目)
福岡の無名校(八幡南高)から競争激しい国学院大野球部に進み、4年間で絶対的エースにのし上がってきたヤツに、心身の強靭さがないわけない。
またきっかけ次第で、それこそ「今永級」の絶対的左腕に変身する可能性を秘めているのは、細野晴希(東洋大/180センチ・85キロ/左投左打)だ。話題になっている「158キロ」は高く抜けたボールで、実は指にかかった145キロ前後の球こそ、このサウスポーにしか投げられない攻略困難な剛球だ。
地元・神奈川にも古謝樹(桐蔭横浜大/181センチ・76キロ/左投左打)という逸材がいる。テイクバックの際、体のうしろにしっかり左腕を隠して、リリースポイントを見えづらくして、打者のタイミングをずらす。大学での4年間で肉体を鍛え上げ、球速のアベレージは10キロ以上もアップ。あわせてツーシームという"切り札"も磨いてきた。
【宮﨑敏郎の後釜は必須】
ウェーバーとなる2巡目は7番目だから、話題の大学生投手はすでに消えているかもしれない。そうなれば、社会人に目を向けたい。
松本健吾(トヨタ自動車/180センチ・80キロ/右投右打)にいきたいところだが、2年続けてトヨタのエース格を指名するのが気まずいなら、竹田祐(三菱重工WEST/184センチ・91キロ/右投右打)の高い実戦力に託す手もある。150キロ近い速球がありながら、カットボール、フォーク、ツーシームに落差の大きいカーブも武器で、打者のタイミングを外す。プロでも長いイニングを投げられる投手と見ている。
宮﨑敏郎は今季34歳ながら、ぶっちぎりでセ・リーグの首位打者に輝いた鉄人。そのバッティング技術、タフな精神力には頭が下がる。
とはいえ、「ポスト宮﨑」はそろそろ考えておかないといけない。
上田希由翔(明治大/182センチ・90キロ/右投左打)なら文句ないが、1位もしくは2位までに確実に獲られてしまう選手だ。
ならば高校生から、森田大翔(履正社/180センチ・77キロ/右投右打)でどうだ。今夏の甲子園でレフトスタンドに放り込んだ長打力があり、広角にライナーで打ち分ける柔軟性もあり、安定したフィールディングもポイントが高い。ひと回り筋肉量を増やして、ホットコーナーを守る者としてふさわしい身体をつくりたい。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
フォトギャラリーを見る
2 / 2