エスコンフィールドはやりやすい? やりづらい? 屋根つきの天然芝、いびつな形状...選手たちが語る本音 (4ページ目)
さらに山崎は「僕自身はいろいろと見える角度が独特でした。応援団の席も外野ではなく内野でしたし」と振り返った。なかでも気になったのが、ネクストバッターズサークルの位置だったという。
「ふだんはバッターのちょっとうしろにあるのですが、ネクストがベンチ寄りというか......僕としては打席と同じくらいの角度でピッチャーを見たいのに、バッターよりもピッチャーの前にいる感じです。どうすればいいかなと考えていたら、ミンゴ(ドミンゴ・サンタナの愛称)はネクスト関係なしに見ていたので、そういうのもありなのかな(笑)」
そしてエスコンフィールドの最大の魅力は開閉式屋根つき天然芝にあり、5月31日は日本ハムが練習している途中まで、屋根が開いた状態で行なわれた。北海道の空はどこまでも青く、太陽に照らされた天然芝の鮮やかな緑は圧巻の美しさだった。
「屋根が開いた状態で練習したのは初めてですが、本当に開放感があって、同じ球場なのに雰囲気がまったく違うなと感じました」(谷内)
7月1日のオリックス戦では、初めて青空の下で試合が開催される。谷内は言う。
「試合になれば風も吹くでしょうし、気をつけることはたくさん出てきますけど、僕らも違う気持ちで、いい雰囲気で試合を楽しめると思いますし、見ている方も特別な日になるんじゃないですかね」
エスコンフィールドでは試合終了後も飲食店は営業していて、多くの観客が余韻にひたることができるが、球場を出ると帰る人たちでごった返す。
「○○へのバスは1時間待ちです」
「北広島駅へ歩く方は左の道をお通りください」
北広島駅に向かって歩きはじめた。人の列が駅まで続くので迷うことはない。家族連れ、友人同士......それぞれが野球談義に花を咲かせ、約25分の距離は苦にならないようだ。駅に着くと、球場から到着したシャトルバスの乗客も合流。改札口は大渋滞となったが、これも「野球の一部」と思えば幸せな時間なのだった。
北海道は開拓の歴史。5年後、10年後、エスコンフィールドの風景がどうなっているのか、楽しみでならない。
著者プロフィール
島村誠也 (しまむら・せいや)
1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。
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